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G線上のあなたと私 第5話 無限の星空と有限の時間

「後戻りなんてできないんだよ、人も時間も」

前回の余韻を引っ張らない

眞於に蕎麦湯を勧められても「ちょっと今はいいです」と胸いっぱいな理人。「眞於、理人を弄ばないでくれ…」と思っていたら、理人が理学療法士専攻にいる意味がやっと出てきた!

しかしこの作品は、前回のときめき場面を余韻に持ちつつ見ると状況の変化に愕然としますね。第4話の手繋ぎ場面から物語の時間は経過しているけれど「あれ?全部無かったことになってる…」と不思議な置いてきぼり感があって毎回戸惑うわ。後戻りしない作品だ。

既婚者の結婚に関する意見①

眞於と理人が会っていることを知り、洒落た飲み屋で理人を待たせる侑人。待っている間、少し心細そうな理人が切ない。そういう所でマウント取って、自分を上に見せているのが兄のプライド?「ニコニコしているだけで何も言わないんじゃ結婚なんてやっていけない」と侑人。

既婚者の結婚に関する意見②

夫の浮気のことを也映子に話した幸恵。「積み重ねた時間が長いほど、簡単には捨てられない」積み上げた時間って相手にも自分にも存在するもの。自分がそれを否定してしまったら、これまでの自分を否定することにも繋がるのかな。「結婚は焼けた石の上を素足で歩くようなものだけど、憎みきれない何かが残ると簡単には捨てられない」と幸恵。

幸恵と由実子の時間の積み重ね

幸恵の義母への接し方がすごく良かった。「お義母さんのこと自慢なんです」とさりげなく由実子を盛り立てて気持ちに張りを持たせている。幸恵は由実子の顔だけじゃなくて、気持ちにも彩りを入れているんだよね。甘やかすのではなく、これまでの由実子でいられるようにというサポート。

結婚したことで生まれた幸恵と由実子の関係性は、こんな風に積み重ねた時間の上に成り立っているんだろう。幸恵が結婚について話した内容は、そのまま「家族」にも置き換えられるのだと思う。

時間は有限

誰と一緒に過ごしたいか。大切な自分の時間を誰のために使いたいか。一緒にいたい人と共に過ごせることが、どれだけすごいことか。

第4話の手繋ぎ前シーンで「どっかにいるよ、この空の下のどっかに~」と話す二人。道路前に楽しく立つ二人と高い位置から人通りを撮影した映像が印象に残っていた。多分、どこの街でもこんなやり取りが行われている。誰に知られるわけでもない、ささやかな時間。「広い世界の中ではささやかな存在だけど、かけがえのない時間を過ごしている人がここにいる」ということを静かに示す場面だった。

最初の発表会で演奏した「星に願いを」を口ずさみながら歩く姿。無意識に一緒にいたい人と過ごす時間。無限の星空の下で、かけがえのない有限の時間を積み重ねている姿はまぶしい。普通の人達の他愛のないやり取りと時間の積み重ねを丁寧に重ねて描いているから、私はこの作品が好きでたまらないのだと思う。

自分たちの時間は有限であることがわかっているから、無限の星空に願わずにいられないのかもしれないね。

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