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イチロー選手ではなく、鈴木選手の打撃練習。もっとも驚いた

数々のスポーツの名場面、名選手を取材することが多かった新聞記者としての人生ですが、「見て驚いた」という点でもっとも印象的だったのは「イチロー選手の打撃練習」ということになるでしょう。20年〜25年間単位で考えても、これ以上の衝撃を受けた出来事は他にないものでしたから。

初めて練習を見たのは、「イチロー選手」ではなく、オリックスの「鈴木選手」でした。1994年2月、沖縄・宮古島キャンプでの打撃練習。ほとんどの打球がライナー性でサク越え(本塁打)して、ミスショットがほとんどない。チーム内の一流選手の練習を見ていて、「下手だな」と感じてしまうほどで、信じられない光景でした。

その後、「イチロー」に登録名を変えて、210安打を放ったのが、この年のシーズンです。イチロー選手が大リーグ入りしてから、「球宴のホームラン競争に出たら面白い」と発言する有名選手や関係者も数多くいました。これは、打撃練習を見た人でしょう。一方で、「非力だから、バント安打でヒットを量産する」などと推測で書いているアメリカメディアを見て、失笑してしまったことはあります。

イチロー選手がすごいのは、けっして体を肥大化させず、体型をキープしたことでしょう。「人間には体のバランスがある。筋肉は大きくできるが、関節は変えられない」という趣旨の内容を語っていますが、周囲に振り回されず、スピードを生かせる選手を貫いた。これは、本当にすごいことです。


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