見出し画像

Tinderでマルチ勧誘された話#1

社会人になって初めての夏、とにかく人に飢えていた。
よく遊んでいた友達ともなかなか会えなくなり、会社の人以外に会うことが激減した。
なかなか会社での成績が上がらないこともあり、心に余裕がなかった。
誰かに優しくされたかった。
そしてもうやることは無いと思っていたTinderを再インストールした。
Tinderは男9女1と聞いたこともあるが、やはりなかなかマッチしない。
ようやくマッチしたのは正直全くタイプではない小太りの女だった。(以下ポチャ子)
何故そんな人をlikeしたのかというと、その人の自己紹介文にあった「社会人サークル」という物に惹かれたからであった。
詳しく聞くと、年齢や性別バラバラな北陸の社会人達が集まって緩く遊ぶ会を定期的に行っているそうである。
とにかく人に飢えていた堀田はそれがとても魅力的に感じ、次の開催はいつかと聞いた。
明日富山。
富山か〜...行こう!
次の日、出来うる限りのオシャレをし、1時間かけて指定された富山のボウリング場まで車を走らせた。
ポチャ子はTinderの写真通りのポチャ具合だった。
あくまで今回の目的は社会人サークルなので特に気にはならなかった。
なんならずっとニコニコしてていい人そうだな〜とか思っていた。
聞けばサークルの集合時間は18時らしい。
じゃあ集合早くない?今15時だぞ...
時間を潰すため近くのファミレスで茶をしばくことになり、お互いの事について色々と話していた。
注文していたスイーツが届きポチャ子が初めてマスクを外す。
うっすら髭が生えている...
俺はもう帰りたかった。
萎え始めた堀田を他所にポチャ子の髭が生えた口が開く。
「堀田くんって夢とかある?」(続く)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?