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火事を体験したからこそ願う理想の社会(火事の後始末 Part9)

私には夢があります。

実家が火事に遭い混乱したからこそ、そして多くの人からの有形無形の多くの支援をいただいたからこそ、勇気を出して声を出したからこそ得られた数々の知見。

それらの知見を活用して、火災にあった方が、少しでも早く日常の生活を取り戻すための仕組みを作ることです。

そして、それは私一人という小さな力では実現できないと思っています。

火災罹災者支援ネットワークを作り、有形無形に罹災者の支援を継続して行える仕組みのある世の中になって欲しいと願っています。

火災からの復旧に役立つ企業の協賛や協力が不可欠だと考えました。

人間の生活に必要なのは「衣食住」で、火災はその全てを奪っていきます。

「衣類」であれば、ユニクロやGUなどのアパレル古着屋さんが一定数の商品の提供する、「食」であればスーパーマーケットの廃棄ロス対策の一部を罹災者対策に充てる、「住居」であれば不動産業、ホテル業、民泊業の企業が一定の条件下で罹災者向けの一時避難場所を提供する等です。

もちろん、企業側にも参加するベネフィットが必要ですし、見返りとまで言わないにしても、企業価値を高めるような価値をお返しする必要はあると思います。

今回は個別の企業側の参加メリットまで提案できておらず、利用者目線に寄りがちなのはご容赦ください。

(もし、企業側にこんなメリットが提供できるんじゃないかな?というアイデアがありましたら教えてください!)

企業のこんな協賛があったらいいのにと考えた例を「情報」「住居」「衣類」「食料」「生活」「行政・インフラ」に分けて提案します。


情報

【文房具メーカー/出版社】火災後の情報ノート作成

まず、何より実現したいと考えているのが、火事現場での「火事の後始末の手引き」のガイドブックの支給です。

この連載の中でなんども指摘しましたが、火災に遭ったときに、何をしたら良いのかまとまった情報は本当に少ないです。

ただでさえ混乱している罹災の当事者にとって、調べながら、自分の取っている行動があっているのかどうか、抜け漏れがないかを気にする余裕なんて本来ないのです。

もし事前に火災ノートを備えていたとしても、火災で焼失している可能性が高いです。

火災時に赤十字から提供される毛布などと一緒に渡せるような仕組みか、消防、市役所などがストックして渡す形でもいいかもしれません。

火災発生から「DAY1」、「DAY2」、「DAY3」、「DAY4」、「DAY5」…、「1WEEK」「2WEEK」、「3WEEK」…、「1MONTH」「2MONTH」…とフェーズごとに対応すべきことを時系列に見られ、書いてあることを実践していけばある程度の復旧に役立つ情報を掲載する。

また、「住居」、「食」、「衣類」、「手続き」…などジャンルごとに必要な情報をまとめたページもあると良いでしょう。

忘れがちなのが、支援してくれた方のメモを残すこと。

これもノートに専用ページを用意しておけば後でお礼をするときに便利です。

初めて火事に遭う方が多いと思いますが、右も左もわからず、悲しみと絶望感の中で、これからの行動や手順を説明してくれるガイドブックがあれば、精神的な安心に繋がるのではないかと感じます。

ガイドブックの一部はノートになっていて、何ならペンも一緒にあれば最高です。

ノートと言えばキャンパスノートのコクヨさん、協賛はいかがでしょうか?

このノートを母艦として、その他の協賛企業に繋げていくことも考えられます。

住居

【不動産会社 / ホテル / 民泊事業者 / 旅行サイト】一時避難先の確保〜新居探し、再築

火災に遭って真っ先に必要になるのは、一時避難場所です。

短くても数週間、長ければ半年〜1年以上避難することになります。

当日から避難するのであればホテルや民泊が選択肢になりますが、人数や期間で一体どれだけの費用負担があるのか非常に不安になります(※1)。

その後は2次避難場所として賃貸や親類の家などに移り住むことも考えられますが、当面の住処は最優先課題になります。

(※1 火災保険で一時避難のホテル代などが補償される場合もあります)

私たちは幸い一時避難場所はすぐに手配できましたが、新居探しでは市営住宅にあたりましたが、入れる市営住宅と家族構成がマッチングせず、賃貸を探すことになりました。

罹災した人数や状況で必要な物件の条件も違うため、必ずしもぴったりな場所がすぐに手配できるわけではありません。

スムーズに一時避難先を見つけられる仕組みがあれば良いと思います。

例えば、空き家になっている遊休不動産やホテルの空き室を一時的に罹災者に提供できる仕組みがあり、罹災者がその日の宿を確保できれば最大の不安を取り除けます。

短期の支援だけでなく、新たな住まい探しや建て替えの間に賃貸という手段もあると思います。

空き家、空き室を罹災者支援バンクのようなものに登録しておき、罹災者が検索できるようになっているととても良いのではないでしょうか?

上記の火災ノートから支援に参加している企業の情報へアクセスできるようにしておくのも良い案だと思います。

衣類

【アパレル企業/衣類販売店/ショッピングモール】衣料品の支援

基本的に罹災者は火事発生時に、着の身着のまま避難していることが多いはずです。

全焼の場合は、日々の下着や靴などを始め、これからの季節すべての衣類が必要になります。

衣類の支援を行うことが出来る企業が参加されているのであれば、火災ノートの「衣類」のページから支援を申し込めるようにしてはどうでしょうか?

対象企業はアパレル企業、衣類販売店、ショッピングモールなどが考えられます。

具体的には、ユニクロやGU、イオン、西松屋など日常生活に根付いた企業などで前シーズンの売れ残りや廃棄処分する予定の衣類などです。

企業としては微々たるものかもしれませんが、廃棄処分の費用が減るでしょうし、罹災者としてはまず明日身に纏うものが必要なので双方にメリットがあるのではないでしょうか?

地方の地元企業であれば、より地元に愛される企業になるでしょう。

意外と見落としがちですが、罹災者は靴さえ履かずに避難している場合も多いと思います。

実際に家族も裸足で逃げており、近所の方がくれた靴を履いていたことを後で知りました。

小さな子供ならなおさら、抱っこされて避難してるので靴を履いてないことが多いかと思います。

家族構成を伝えると、それに相応しい衣類や下着、靴などが1週間分ほどまとめて寄付されるような仕組みがあれば、とても助かると感じています。

食料

【食品メーカー/スーパー/飲食店/コンビニ】食料品の支援

例えば「食料」の支援の協賛であれば、大規模災害時に食料支援を行う山崎製パンのトラックをメディアで見たことがある人も多いのではないでしょうか?

山崎製パンの公式サイトより掲載

サイトには「被災地への緊急食糧の供給を行うことは、食品企業としての当社の社会的使命と考えています。」とありました。

社会的使命、いわゆるCSR(企業の社会的責任)活動費として計上されているのではないでしょうか。

このように食の支援を行うことが出来る企業が参加されているのであれば、火災ノートの「食料」のページから支援を申し込めるようにしてはどうでしょうか?

対象企業は食品製造会社、飲食店、コンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストアなどが考えられます。

子ども食堂のような体裁で罹災者の一定期間(1週間〜1ヶ月)の食料の不安が減少するととても助かると思います。

ちなみに、有名なCSRの事例としては、毎年3月11日の「Yahoo!検索」があります。

「3.11」と検索すると、一人につき10円をYahoo!が復興支援団体に寄付する、東日本大震災の風化防止と復興支援を目的とした取り組みです。

企業サイトのCSRの取り組み事例として紹介されています。

検索された方も多いのではないでしょうか?

復興を願う検索ユーザー、サイトを運営するYahoo!、被災者にとって三方良しの状況と言えるでしょう。

生活

【家電量販店 / 中古家具等販売店 / フリマアプリ】生活再建に必要な物資の提供

避難生活に必要なものは、100均や中古品を扱うリユースショップなどで購入しました。

また、近所の方や子供たちの同級生のご家族から譲ってもらうこともありました。

その中で、全てがそれらで賄えるわけでもないのですが、「まだまだ使える」、「ほとんど新品なんだけど使っていない」ものが意外と家の中にはたくさんあるんだという声がありました。

それらはメルカリやジモティのようなフリマアプリなどで売買されていたりするのですが、これをうまくマッチングできれば罹災者にとってとてもメリットがあると感じました。

たとえば、プラットフォーム側の承認があれば一定の額までの購入をプラットフォーム側が負担する仕組みがあるとよいなと思います。

出品者側は、プラットフォームが支払いを負担するので売上は変わらずに入ります。

購入費用はプラットフォーム側のCSRの一部として取り組むことができればよいなと思います。

中古家具、衣類販売店で利用できるクーポンなどの発行が出来れば、見て選ぶことが出来て良い仕組みかも知れません。

なりすましを避けるためにも、罹災証明書などの公的証明書の提出や本人確認などのハードルを設けるのもありかもしれません。

同じように、中古品の寄付などのマッチングを行うことができればいいなと思います。

このイメージに近いのが、「寄付したい」と「欲しい」をマッチングするStockBase(ストックベース)かと感じています。

StockBaseとは、企業で賞味期限前に不要になった災害備蓄用品を地域の食支援団体や子ども食堂へ寄付するマッチングプラットフォーム事業です。

このような災害専用プラットフォームがあれば理想ですが、もっと身近に普段から使用してるフリマアプリにそのようなサービスがあれば、認知の広がりも早いと感じています。

ここから生活再建が始まります

火災による生活再建は想定外の出費の始まりです。

何百万、何千万円の出費が考えられます。

今回、ありがたいことに多くの見舞金が集まり、新しく家具・家電を揃えることができました。

私なら良い家電に買い替えるチャンスとも考えてしまいそうですが、家族の立場からするとそうでもありませんでした。

みんなからもらった貴重な見舞金を1円でも大切に使いたいと、家電量販店では一番安い冷蔵庫や洗濯機などから探し始めていました。

質より安さを優先して選ぶ傾向があったのです。

そんな時に気持ちよく使える制度があれば、より有意義な機会になると思うのです。

例えば、家電メーカーや家電量販店が旧型の家電をストックしておき、その分の期末在庫に関しては法人税の課税対象外にするなどの仕組みはどうでしょうか?

廃棄される家電を一定期間ストックしておき、火事にあった家庭に生活に必要となる家電一式を提供することが出来るのはとても素晴らしいことだと思いませんか?

企業側としても、熱心なファンになることが期待できます。

行政・インフラ

【自治体 / 行政】手続きの簡素化を

火事の経験を元に、不便だと感じたことが2つあります。

1つ目は、火事の後、一番最初の手続きとなる罹災証明書の申請時に押印が必須だったことです。

火災で印鑑が燃えて手元にないことが多いのではないでしょうか?

押印必須ではスピーディに物事を進めることが出来ません。

2020年以降、行政手続きの見直しの一環で、婚姻届に押印が不要な時代になりました。

2026年からはスマホで出生届が提出できる予定だと報道されています。

もっとも緊急重要度の高い罹災証明書こそ押印不要が相応しいと思います。


2つ目は、マンナンバーカードの再発行手数料の無償化です。

無くした理由が火事であっても、再発行料(800円)が必要になります。

例えば、罹災証明書があれば再発行費無料にするなど検討できないものでしょうか?

大きな金額ではないですが、災害時の住民税の免除や市営住宅の1年間家賃免除など柔軟な対応がある中、ここだけは例外は認めないという姿勢が気になりました。

「例外のない規則はない」という言葉がありますが、まさにこのような時にあるのではないでしょうか。

心から改善を願うばかりです。

【検索&ECプラットフォーム / 保険会社】情報の交通整理やとりまとめを

もし今回提案させていただいた支援案を導入する企業が現れるならば、GoogleやAmazon、楽天などのプラットフォーム企業にサービスのとりまとめをして欲しいのです。

火災保険を販売している保険会社でもよいかもしれません。

個々の企業が取り組むのではなく、業界を超え弱者を救う仕組みを用意して欲しいのです。

探さないと見つけられないサービスではなく、「火災に遭ったら」と検索すれば、必要な情報と支援のページにたどり着ける、誰もが新しい生活のための支援を受けられる社会を作りませんか?

おわりに

日本では毎日約99件の火災が発生しています(※2)。

にもかかわらず、火災に遭った時に参照できる情報があまりにも少なすぎます。

(※2 総務省消防庁の消防統計(火災統計)によると、2022年の総出火件数は36,314件。1日あたり平均99件。)

火災にあった方への情報を1箇所にまとめた方が良いように、支援の情報も1箇所にまとめられていたならばとても素晴らしいことだと思います。

理想を言えば「火災支援企業ネットワーク」のような事務局ができるとよいのではないかと考えます。

個人で助けを必要とする罹災者に向けて、災害大国ならではの期間限定ではなく社会の助け合いのインフラのようなサービスがどんどん増えて欲しいと願うばかりです。

このnoteをご覧いただいている該当企業や関係者の方がいらっしゃれば、ぜひ検討してもらえませんか?


▼堀池実家火災支援のAmazonほしいものリスト

新しい生活に必要なものを選んでいます。

ご支援いただけるととてもありがたいです。

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実際に火災の当事者になり、火災に遭ったあとの行動や手続きについてまとまった本やブログはとても少ないことに気がつきました。

火事に遭ったときに手に取れるガイドブックにしたいです。

そのために、この記事を出版社に持ち込みたいと考えています。

今回の記事が良いと思ってくださったら、ぜひスキやシェアをお願いします!

【取材歓迎】
火事の実体験についてお役にたてそうなことがあれば、horiikemaki<at>gmail.comまでご連絡ください。

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