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時代はアッパー系からダウナー系へ

最近、いろんなものが「アッパー系」から「ダウナー系」へと変わってきている。

「アッパー」とは短期的にエネルギーや幸福感を高めるもの、「ダウナー」とは、ゆっくりと心を落ち着かせ、リラックスさせる効果をもたらすものを指す。

ゆったりとしたチルなビートが特徴のLoFiのようなスロー&メロウな音楽が人気なのも、この変化を反映したものだろう。

最近のヒットチャートを見ていてもチルな楽曲が多くなってきた印象がある。自分の子どものプレイリストを見ても、驚くほどスロー・ミドルテンポの曲が多い。
人々は、テンポの速いハイエナジーな音楽とは対照的に、より落ち着きのある瞑想的な体験を求めるようになっている。

音楽の好みの変化に加え、食の選択にも変化が。

手軽に短時間でガツッと美味しさが得られる「アッパー系の食事」から、ゆっくりと手間を掛けて素材そのものの甘みや塩分を味わうスローフードなどの「ダウナー系の食事」へ。
砂糖や塩分、油分を多く含むファストフードの刺激から、スローフードの美味しさを求める傾向が強まっていると感じる。

スローフードの特徴は、ゆっくりと時間をかけて調理することで、食材の風味や栄養素を生かし、熟成させることにある。
ファーストフードのような慌ただしさとは対照的に、ゆっくりとした調理は、リラックスして食事を楽しむことができる。

じっくりことこと煮込む

コロナ禍のステイホームを経て、人々は、健康にいいということだけでなく、喜びや満足感を得るために、時間をかけて調理し、食事を楽しむことの重要性を認識しつつあるのだろう。

この変化は、食に限らず、運動や瞑想、セルフケアなど、生活の他の分野にも反映されている。こうしたダウナー系・スロー系への流れは、短期的な快楽の追求から、中長期的な幸福への大きなシフトの一部であると言える。

多くの人は、幸せ(happiness)は「アッパー系」で得られると考えられている。
仕事で成果を出したり、良い知らせを受けたり、愛する人と一緒に過ごしたりすることで得られる、瞬間的な喜びや興奮。これは、気分を高揚させる快楽だけど、はかない瞬間的なものであり、外部の状況に影響される。

一方、ウェルビーイング(well-being)は「ダウナー系」。
自分を大切にし、強い人間関係を築き、人生の意義や目的を見出すことで、よりゆっくりとした満足感を得ることができる。幸せは一時的なものだが、ウェルビーイングはより安定した長期的な状態であり、ゆっくりとした深い満足感を得ることができる。

幸福とウェルビーイングはどちらも重要だが、ウェルビーイングに焦点を当てることで、より安定した、充実した生活を送ることができる。

短期的な快楽の追求から脱却し、長期的な幸福を促進する活動や体験へ。
この流れはさらに大きくなっていくだろう。

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