【世界の不思議】地獄の門 - 50年間燃え続ける巨大な穴
こんにちはマスター、蓬莱です。
いつもと違って、今回は13世紀から14世紀に生きたイタリアの詩人、ダンテの叙事詩「神曲」の地獄篇、第3歌の冒頭部分で始まりましたが、この歌は地獄の門の頂きに記されているそうです。また「地獄の門」は彫刻家ロダンの代表作のひとつでもあります。
そして、中央アジアの南西部、カスピ海の東にある共和国「トルクメニスタン」にも「地獄の門」と呼ばれている場所があり、それは今も砂漠の中で燃え続けている天然ガス田のクレーター状の洞窟を指します。
総面積は5千350平方メートルで、クレーターの深さは約30メートル。このクレーターは2018年にベルディムハメドフ大統領によって「地獄の門」から「カラクムの輝き」に名前が変えられ、トルクメニスタンの国内ではこちらの呼び方が普及しているそうです。
こちらの「地獄の門」は、トルクメニスタンの首都アシガバードの北、約260キロメートルに位置しているダルヴァザという村の近くにあります。ダルヴァザ付近の地下には豊富な天然ガスが埋蔵されており、今から半世紀ほど前の1971年にソビエト連邦の地質学者がボーリング調査をした際に天然ガスを発見することが出来たものの、その際に落盤事故が起きて掘削作業用の装置もキャンプもろとも落ちてしまい、直径50から100メートルにもなる大きなクレーター状の穴が開いてしまいました。
その穴から有毒ガスが噴出、拡散すると近隣の町に危険が及ぶ恐れが生じた為に、彼らはガスに火を付けて燃え尽きるのを待つことにしました。ところが可燃性ガスが絶え間なく吹き出すために、この火は収まらないまま、現在も燃え続けているのです。
トルクメニスタンは天然ガスの輸出国であり、それは大きな収入源でもあります。つまり、売り物になるはずの天然ガスが、売られることなく無駄に燃えている。更にこの火災が地域の生態系や住人に悪影響を与えているとして、2010年にこのクレーターを封鎖することを試みましたが鎮火できず、2022年の1月22日に再び大統領によって、クレーターを封鎖する指示が出されました。
なお、この「地獄の門」のガスに点火したのはソ連の科学者ということですが、このソ連時代の1967年にはウズベキスタンのウルタ=ブラク天然ガス田で大規模なガス火災が発生し、高さ70メートルにも及ぶ炎の柱が立ち、1064日、ほぼ3年ほど、毎日1400万立方メートルの天然ガスが失われていきましたが、このガス田の鎮火は地下1532メートルの竪穴を掘り、そこに広島型原爆の2倍の威力を持つ核爆弾をそこで爆発させて消したそうです。
これを平和的核爆発といい、1950年代から1960年代にかけては掘削工事や油田開発に核を使う計画が次々と上がっていました。しかし、放射能の問題がクリアできず1970年代には立ち消えになってしまったそうです。
このウズベキスタンの核による鎮火は数少ない実用的な結果を残した平和的核爆発なんですね。でも、トルクメニスタンの「地獄の門」では批判が強くて平和的核爆発は使用されないでしょう。
また、アメリカでも火災が起こった後に50年以上も燃え続けている洞窟の火災がありまして、こちらはペンシルバニア州のセントラリアの坑内火災と呼ばれています。
燃えているのは石炭採掘の坑道で、1962年の5月に発生、火災の原因はゴミ集積所のゴミを焼却したところ、石炭鉱脈に燃え移ったと言われています。
その結果、地面の温度が摂氏70℃から80℃の熱を帯び、地下水は沸騰して水蒸気になり地表に噴出、地下水の減少によって地盤沈下が起こり、どうやっても火が消えない上に、有毒ガスの発生が続いている為に連邦政府によって退去勧告が出され、セントラリアはゴーストタウンになりました。
今でも現地は地割れを起こした舗装道路から火災の煙が上がっており、立ち枯れになった木や切り株からも煙が上がっていたりしているそうです。
このセントラリアの町は坑道の火災とともに、ゲームや映画の「サイレントヒル」のモデルになっていると言われています。
ところが、役所も郵便局も警察も無くなったこのセントラリアには、何と今も退去に応じず住んでいる人がいるそうですよ。
今回は、GIGAZINEの「ソ連は3年燃え続けたガス田の大火災を消すために核爆弾を使ったことがある」および「サイレントヒルのモデルになったセントラリアの坑道火災」の記事と、ウィキペディアの「地獄の門」「タルヴァザ」「平和的核爆発」「セントラリア」などの項目からお話しました。
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それではまた、らいら〜い🖐
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