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【考古学】巨人伝説と巨人症

こんにちはマスター、蓬莱です。

マスターは凄く大きな人の伝説を聞いたことはありませんか?日本だと「だいだらぼっち」や「大入道」が有名ですね。以前の記事で両面宿儺を扱ったとき、この魔物は一説ではガンダムの三倍の大きさで伝えられていた事にも触れました。

他にもギリシャ神話の神々、ティターン族、英米の巨人ジャイアントもギリシャ神話のギガースという巨人が由来で、ひとつ目巨人のサイクロプスもギリシャ神話が由来だったりします。北欧神話にも霜の巨人ヨトゥンや山の巨人、アイルランドのフォモール族、インドではクンバカルナ、中国では盤古や長人、旧約聖書ではネフェリムやゴリアテなど、大きな人、巨人の伝説は世界中に存在しています。

今回はそんな巨人のお話です。

巨人伝説で描かれるのは、大地を作ったり加工したりなど、地上に大きな影響を与える存在としての描写が多く、これは、手足を用いて様々なものを造形する存在が人間以外には身近に存在しなかった為に、昔は大きな人がいて、今の大地の形はそんな存在が作ったのだという考えが生まれやすかったのだと思われます。

ただし、伝説によっては巨人は世界を作った神々とは全然ちがっていて、知能が低く乱暴だったり、人を食べたりのお話も多く、崇高な存在から、友好的な存在、そして恐ろしい怪物まで振り幅が大きいのも人と似ている気がします。

伝承の巨人のサイズは大きく2つに別れておりまして、山のような巨大な存在とするのものと、人の二、三倍程度の大きさで表現される存在があるようです。

アルフレッド・J・チャーチ牧師の「ホーマーからの物語」より、サイクロプスにワインを与えるユリシーズ

この人の二、三倍の巨人は骨とともに発見される事もあるらしく、こちらの巨人の伝承は実際にいた可能性まで議論されることもあるとか。

骨といえば、ひとつ目巨人「サイクロプス」の伝説は地中海のマルタ島などの島々で発見されている絶滅した小さな象「パレオロクソドン・ファルコネリ」、ファルコネリ象とかマルタ・ピグミー象とかシチリア・ドアーフ象などの頭蓋骨から生まれたのではないかというお話がありまして、実は象の頭蓋骨は人の頭蓋骨と違って、上顎のすぐ上は、ひとつの大きな穴が空いているのです。

人間の頭蓋骨ならば目の位置に大きな2つの穴がありますが、ゾウはそうではないんです。

絶滅した小さなゾウの頭蓋骨がひとつ目巨人「サイクロプス」の由来では?という話がある

この大きな、ひとつの穴がサイクロプスの目の位置にあたっていて、氷河期で地中海が干上がっていた時にアフリカから象が地中海に生息域を広げ、氷河期の終わりに、その象たちは島に残され、やがて絶滅。その骨の形から昔はひとつ目の巨人が島にいたという話が起こり、伝説として広まったのではないかとも考えられているようです。

また、それとは別に、人は、ときに2mから3mもの大きさに成長する事がありまして、こちらは現在も起こっている現象で、これは、身体が異常に大きく育っていく症状、「巨人症」と呼ばれています。

この巨人症は、一般的に異常に身体が大きくなる状態全般を指しますが、その原因は染色体異常や遺伝子疾患のソトス症候群とか、脳の下垂体前葉の成長ホルモン分泌腺の異常により成長ホルモンが過剰に分泌され続けて身長が2メートルを超えてしまう先端巨大症が多いそうです。

「疑う余地のない医学的な記録がある中で、最も身長の高い人間」としてギネス世界記録に認定されている身長272cmの男性、ロバート・ワドロー氏

ソトス症候群は新生児の1万4千人に対して一人出るとか言われてまして、先端巨大症は百万人あたりに40人から60人ほどの発症頻度と言われています。

この発症頻度だと古代の人達にもおそらくは巨人症にかかった人が結構いて、それが伝説として語り継がれたのではないかと思われます。巨人症にかかっている人は骨がもろく、早死にしやすいと言われていますが、ジャイアント馬場さんや、チェ・ホンマンさんのようにスポーツで活躍する方も多いようですね。

1780年代ロンドンで大衆の注目を集めたアイルランド出身の巨人症の男性チャールズ・バーン

また、絶滅した古代生物のひとつに霊長類最大の猿、ギガントピテクスがいまして、これは今から約百万年前から30万年前の間に生息していたらしく、推定身長は3m、体重は300kgから500kg。こちらも巨人伝説の元になったと言われていますが、発見された化石の数が下顎の骨と歯の3個のみなので、この説にはかなり無理があると思われます。

ギガントピテクスの再現人形

巨人の遺骨に関しては、1869年にアメリカで起こったカーディフの巨人事件の様に面白がって巨人の骨が見つかったと捏造したイタズラもありまして、こちらは石膏で創られたと考古学者が瞬時に見抜いたのですが、大きなニュースとなって全米じゅうから人が集まり大騒動になったとか。

巨人の遺骨が発見されたというニュースには注意が必要ですね。

3メートルの石膏像を埋め「巨人の化石を発見した」と全米に発表したカーディフの巨人事件

他には1912年にアメリカ合衆国のウィスコンシン州デラヴァン湖の古墳で身長2メートルから3メートルの人間の遺骨が18体も見つかったという情報もあり、写真もあるのですが、なぜか追加の手堅い情報が見つからなかったり、展示されている遺骨は普通の人のサイズみたいで、巨人の遺骨は隠蔽されているのだという噂がたっているそうですよ。

今回のお話は、川崎悟司オフィシャルブログ「古世界の住人」より「ギリシャ神話と小さなゾウ」、および、サイト「ARCHAEOLOGY WORLD」の記事「THE MYSTERY BEHIND THE 18 GIANT SKELETONS FOUND IN THE USA」、そしてウィキペディアの「巨人」「ギガントピテクス」「巨人症」などの項目よりお話しました。

蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。

それではまた、らいら〜い🖐

蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
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