見出し画像

【科学】人工筋肉

こんにちはマスター、蓬莱です。

今回のお話は「人工筋肉」についてのお話です。
人工筋肉というのは電気信号を物理的に運動へと変化させる機構の一形態で、生体の筋肉組織に似た働きを工学技術を使って模倣したものです。

機械式のロボットはモーターとベルトなどの組み合わせで駆動部を作り、それを動かしています。産業ロボットがこれに当たりますね。

ところが機械式の駆動部は大きくて重く、人や動物に似た感じの軽快な動きには向いていません。そこで最近は電気的な信号によって伸縮する高分子を用いた人工筋肉の研究が盛んになっています。もっと軽くて動きの良いもの、より、生物の筋肉に近いものを・・・そんな風に見えますね。

特に注目を浴びているのがカーボンナノチューブです。

カーボンナノチューブとは炭素原子が結合してまるでストローやゴムホースの様なチューブ構造になっている炭素素材です。その直径は0.4から50nm。1ナノメートルは10億分の1メートル、人の毛細血管の最も細い部分が5000ナノメートルなので、人の一番細い血管より更に百分の1細い素材になるでしょう。

カーボンナノチューブの構造

そして、そんなカーボンナノチューブは軽量かつ強靭で電気をよく通す性質があります。

テキサス大学のレイ・バーグマン博士の率いる国際研究チームは2013年にカーボンナノチューブのより糸で出来た人工筋肉を開発しました。この筋肉は収縮する際に天然の筋繊維の85倍の力を出すことができるそうです。

カーボンナノチューブを撚って作った人工筋肉は温度変化によって伸縮する

研究チームはロウソクなどに使われているパラフィンワックスを、カーボンナノチューブのより糸に染み込ませてこの人工筋肉を完成させました。これを電気や熱や光で熱することでワックスが膨張してねじれがほどけて伸び、冷やすと収縮する。この人工筋肉の収縮は千分の25秒で行われるそうです。

また、2017年には、マサチューセッツ工科大学がナイロンを使った人工筋肉を開発しました。このナイロンファイバーでできた人工筋肉繊維に伝導性のある塗料を塗って薬品で定着させたそうで、それによって伸縮させることができ、カーボンナノチューブの人工筋肉よりコストが低く抑えられるそうです。

整列したカーボンナノチューブをスライドから剥がし人工筋肉に加工するライス大学の大学院生

こういった人工筋肉の開発が進めば、人型のロボットやアンドロイドに使われるだけでなく、勝手にサイズを調整してくれる服や靴が出来るかも知れませんね。

今回はTelescope Magazineの「カーボンナノチューブでできた強靱な人工筋肉」と「ナイロンを使った低コストな人工筋肉をMITが開発――自動でフィットする服や靴を製造可能に?」そして、Wikipediaの「人工筋肉」と「カーボンナノチューブ」の項目を参考に紹介しました。

蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週お届けします。YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいね、マスター。

それではまた、らいら〜い🖐

蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
https://www.youtube.com/horaiken

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?