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叡王戦が好きなわけではない。

就位式の中盤、叡王戦の主催が変更されdwangoが主催から「降りる」ことが発表された。



棋戦としての「叡王戦」に思い入れはたぶん、ない。

一時期のテレ東以外NHK教育とBSでしか見れなかった将棋を、試行錯誤しながら「エンターテイメント」として育ててきたニコ生(≒dwango)。
一大コンテンツに昇華した電王戦を一般棋戦「叡王戦」として発展解消し、さらに「棋界序列3位」タイトル戦にまで成長させた。

その過程を同時代に体感できたこと。

また番組構成もメール紹介は言うに及ばず、ニコ生の画面コメントを出演した棋士が時折「拾う」ことで生まれるコミュニティ感覚こそが醍醐味というか、「宝もの」だった。

「将棋とネットの親和性」と言われるが、「将棋とニコ生の親和性」に他ならない、と思う。

ニコ生と将棋の融和による結晶としての叡王戦。


叡王戦の段位別予選によって「四段五段」の若手新鋭の死闘、「九段」の達人戦、「七段」の実力者の鬩ぎ合いなど単なるトーナメントとは一味違う趣が現出したのは、発案者康光会長流石の一言でした。

またほぼ全予選中継するに当たり、人気棋士以外の先生方の解説が見れたのも副産物といっては失礼ながら、嬉しい発見でした。北島先生や飯塚先生、森下先生は解説で好きになりましたから。

本戦トーナメントの抽選を可視化した上でエンタメ化してのけたのも特筆すべきですね。リアルタイムで一喜一憂し、書家の先生の腕の心配までしたのも懐かしい。

本戦中継では数々の大逆転ドラマが巻き起こり、「叡王戦の魔物」とまで膾炙されるまでに至りました。渡辺大天彦戦、飯島永瀬戦など解説者の動転ぶりもリアルで興奮したものです。

対PONANZA戦の山崎先生天彦先生。
棋士の「苦悩」をど直球で投げ掛けてきた。
高見金井戦高見永瀬戦。
棋士の「勢い」をまざまざと見せつけてきた。
「人間」を感じざるを得ませんでした。

叡王戦がスポンサーを変更して再出発される由。
新たなスポンサー様には感謝してもしきれません。

がしかし、私にとって大事なのは棋戦「叡王戦」なのではなく、叡王戦という結晶に昇華したこれまでの歩みなのです。
このエッセンスが皆無もしくは希釈された「新・叡王戦」に熱量を注げるかどうか。

「ニコ生将棋文化」の叡智の結晶としての「叡王戦」。
これこそが私の愛してやまない宝ものなのです。

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