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枯れた井戸の中で

雁字搦め
何も知らなければ
このままここで どんどんこの蔦に絡まれていく
身動きが取れないまま 誰に見られるわけでもなく
その花に実がついたか気に掛ける暇すらもなく朽ちていく。

不幸かどうか
それは尺度の問題だ
だが不幸は 多くを知らずとも漠然とわかるだろう
かくしてその対極にあるのは雲の上
お話の出来事だと割り切れば
薄暗がりの命でも良しと思える終わりが来るのか。

知ること
啓蒙は光だ
"enlightment"とあるように
見えないものに光を当て まだ知らぬものへ導く指針となる
それに希望か怒りか 何等かを爆発させることで
先に進むエネルギーを人は持っている
同時に 知ってしまうことで絶望に落ちることもある。

引き換え
啓蒙は視界を広げる一方で 人を盲目にさせる
すべてを照らす光などない
何かを照らすとき 必ず別の何かに影が差す
多くを照らすとき すべてを見渡せている気になる
その実 目が眩み見落とすものがある
私たちは全てを見通すことはできない
全てを得られないように。

簡単なことは、簡単ではない
そうやって構えることで、また蔦が這い、身を絞めあげる

(著者コメント:どん底を取り上げるとこんなかんじでしょうかね)

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