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俺のおやじ、ミノル 【其ノ拾伍】俺のおやじ、ミノルは◯の中を◯◯◯で◯◯に行って怒鳴られたことがある


ある冬の日のことだった。

その日は、雪がしんしんと降り積もっていた。

おやじは、何を思ったか
突然、川向こうのお袋の実家に行こうと言い出した。

まだ赤ん坊だった俺の顔を見せにいこうと。


我が家には、車はない。

では、何で行ったか?

自転車である。

背中に赤ん坊の私を背負って、雪の中を自転車で
佐原市(現・香取市)から麻生町(現・茨城県行方市)まで。

川越えといっても、坂東太郎こと利根川の下流である。
しかも、雪の中を赤ん坊を背負って。

片道、車でも30分はかかる行程なので
自転車なら1時間半はかかっただろう。

で、実家に着いた。

「こんちは!」と引き戸を開けた瞬間、
「この吹雪の中、何しにきた(怒怒怒怒怒怒〜〜〜っ)」

ばあちゃんに、怒涛の如く怒鳴られた。

で、そのまま引き返した。

………って、そのまま引き返してくんなよ!!!
俺、大丈夫だったのか???

……………(謎)


無謀な親である。


ピー子


#創作大賞2022

#俺のおやじミノル


実家にいた頃は、俺にはおやじはいるのか?と思うくらい、夜遅くまで呑みあるっていて顔を見る機会も少なかったおやじ、ミノル。晩年は缶ビール1本を飲むか飲まないか、というレベルの酒量でしたが、それでも楽しく嗜んでいたようです。おやじへの酒代として大切に使わせていただきます。