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未来を築くコーヒー

エルサルバドル モンテシオン農園から来たこの豆は、
優しく明るいフルーティーさと甘味がじんわり沁みるコーヒーでした。

中米のコーヒーを知ろうとすると、そこには必ず「内戦」という過去が関わってきます。

エルサルバドルも例外ではなく、1980年から92年までの12年間、政府軍とゲリラ勢力との間で激しい内戦が続けられ、約7万5000人が犠牲になり、現在も経済復興と治安回復が大きな課題となっています。

政府に強制的に土地を接収された農民たちの反抗が、ゲリラ活動の基盤となったりもし、コーヒーをめぐる人々が長きにわたり厳しい状況下で生死をかけてきた歴史があります。

以前、グアテマラの農園を回った時に、農園に内戦の傷跡があちこちにありました。案内をしてくれた農園のリーダーの方の ”コーヒー栽培の先生” が殺されたという場所が、まだ農園の中にそのまま残っていました。
生産側のみなさんの耐え難い思いの重みの上に、私たちが当たり前のようにコーヒーを飲めている今があることを、いつも心に置いておかないと、、と深く思う経験でした。

このモンテシオン農園のオーナーは、コーヒーで得た利益で従業員にきちんと還元することだけでなく、社会インフラの整備や自然環境の維持保全などの活動に力を入れているとのこと。
このコーヒーを育ててくれたみなさんが、笑顔でいてくれているのではないか、と想像できるような優しい味のコーヒーは、ちょっと気持ちが疲れてしまいそうな時にさりげなく励ましてくれるような存在です。

標高1400m~1700mに位置し火山灰を多く含む肥沃な土壌に恵まれ、収穫から処理に至るまで徹底した品質管理のもとに生産されるこのコーヒーは、甘味・酸味・香りの良い調和が特徴です。

そして、当店の焙煎で、
・焦げ味が出ないように焙煎し(焦がさない焙煎)
・焙煎直後から耐圧容器内で圧をかけて保存する(加圧熟成)
ことで、さらにまろやかな味を引き出しています。

味の定着には、焙煎してから1週間もしくはそれ以上、二酸化炭素で圧をかけて酸素に触れない環境下(ビール樽内やビール瓶内など)でコンディショニングを行います。
これで、様々なコーヒーの持ち味が、バラバラではなく角がとれてまろやかにまとまります。
そして、樽から出した後も、空気が触れないような容器の中であれば、さらに味は良いほうへ変化していきます。
お客様のお手元で、是非コーヒーの成長をお楽しみいただければと思います。

当店のコーヒーは、沸騰直後のアツアツのお湯で淹れることを推奨しています。
焙煎による苦味がないので、お湯の温度を下げる必要がなく、逆に高い温度で淹れることで豆が持っている個性がはっきりと出ます。
ペーパーフィルターで淹れて、すっきりとしたフレーバーを楽しむのも良いですが、コーヒー豆のオイルも一緒に抽出されるフレンチプレスのような淹れ方も、甘味が余すところなく出てオススメです。


El Salvadore Monte Sion
〈地域〉アワチャパン県
〈品種〉ブルボン
〈標高〉1,400~1,700m
〈精製方法〉ウォッシュト
〈テイスティングノート〉
オレンジ、アプリコット、ほおずき、ナッツ、ブラウンシュガー、デーツ、プラム など


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