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【裁判傍聴】母親を暴行死させた被告は“ヤングケアラー”だった。10歳から家事に追われた母親との「狂気の関係」

🐬 私はこの事件ではないですが
2022年、裁判傍聴していたので
こんな事件もあるという
記事の紹介です。

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「お母さんとあなたの関係は狂気だと思う」
裁判長は、被告に向けてこんな言葉を発した。
2023年5月、東京地裁で開かれた傷害致死事件の裁判。37歳の被告が問われたのは、55歳の母親に対し殴る蹴るなどの暴行を加え、その後死亡させた罪だ。病気の母親と無職の息子が、生活保護費を頼りに暮らす日々。

裁判長が“狂気”と表現した親子に何があったのか。法廷で取材を進めると、被告が小学生の頃から家事全般を担う、いわゆる”ヤングケアラー”だったことが明らかになった。

加えて事件の背景には、母親との間にたばこの本数から水を飲む量まで決め事がある、特殊な関係もあった。

TBS NEWS DIG


糖尿病とうつ病を患う母親は、自分で食事や排泄はできるものの、一日のほとんどを寝て過ごしていたという。

被告は高校卒業後、接客のアルバイトや派遣の仕事を転々とした。

30歳ごろから一切仕事をせず、母親の生活保護費のみで生計を成り立たせていた。

ーー家事は?
母はできなかったので、兄が積極的にやって、私も手伝っていた。

被告は10歳のころから、料理や洗濯、掃除などの家事を全てこなしていたという。妹は「母親の良いところは」と問われると「正直良い思い出がない」と吐露した。

【妹への証人尋問】
ーー当時、誰かに相談は?
できなかったです、そういう力がなかった。みんなバラバラになってしまうと思っていた。幼少期に、兄がいてくれて本当に助かった。

6年ほど前、妹が結婚したのを機に実家を出て以降、被告はつきっきりで母親の面倒を見るようになった。

【被告人質問】
ーーお母さんとあなたとの関係、狂気だと思うが、どう思う?
母は普通じゃない人間だったが、自分も普通じゃないことばかりをやった。後悔しています。
ーー暴力をふるわれたお母さんの気持ちは?
自分の息子から無慈悲な暴力をふるわれて、とても苦しかっただろうと思います。

「母親への復讐だったのか」と問われると「恨みや憎しみはなかった」と否定した。検察側は懲役7年を求刑した。
傍聴席では、被告の妹が幼い子どもと一緒に、その様子を見守っていた。


【最終意見陳述】
被告「私の身勝手な行動で母に取り返しのつかないことをしてしまった。母には孫がいて、孫が生きがいで生活していたのに、奪ってしまい、謝っても謝りきれない」

5月19日、懲役5年の実刑判決が言い渡された。
裁判長は「執拗な暴行で被害者の尊い生命が奪われた」と非難する一方で、「酌むことができる事情」として次のように述べた。

裁判長「幼い時から家事全般を担当し、1人を寂しがる被害者に寄り添い、外部との関わりをあまり持たず、基本的に2人で相互依存するような関係で長らく暮らしてきたことが、被告人を歪んだ心理状況に陥らせた」

言い渡し後、裁判長は、法廷で証言した妹らが「あなたの帰りを待っている」と伝えた。


裁判長「お母さんは、あなたが処罰を受けることを望んでいないかもしれない。ただ、今回のことを重く受け止めて下さい。あなたにしっかりしてほしい、それがお母さんの望みかもしれないので忘れないでね。罪と向き合って、あなたらしくやり直してほしい」

被告は「はい…はい」と繰り返し答え、頭を深く下げた。

(TBSテレビ社会部 司法記者クラブ 高橋史子)


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📝【裁判傍聴】母親を暴行死させた
被告は“ヤングケアラー”だった。
10歳から家事に追われた母親との
「狂気の関係」

という記事でした。

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