光る種 【#シロクマ文芸部】
手渡されたのは光る種。
これは、フードを深くかぶった人からもらったものだ。顔はよく見えなかった。名前もきいていない。ただ、渡してきたからもらっただけ。
私はこの種をどうすればよいのだろうか。
まずは、眺めてみる。光っている以外、特に特徴がない。
重さも普段、植物を育てないからはっきりとしたことはわからないけど、多分普通くらい。
「はぁ~」
どうしたらいいのかわからなくて溜息をつく。やっぱり、光ってはいるものの種だから、植えてみるのがいいのだろうか。
光を隠すようでなんか嫌だけど、飾っているだけでもね……。
最初は、わざわざ色々な園芸用品を買うのも面倒だから、家庭菜園のところに植えようかと思ったけど、なんとなくプランナーに植えてみたいと思った。
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必要なものを買ってきたので、今は土を入れている。
面倒なことをしたな…と少しばかり後悔した時に、私の幼馴染が声を掛けてきた。
「手伝おうか?」
面倒だと思っていた私は、勿論、手伝ってもらうことにした。彼は幸せそうに土をいれる。
流石に私もやらなきゃと思って、一緒に入れる。
「頑張るね。僕に任せちゃってもいいよ」
「いや、一応、私がもらったものだしね」
「まぁ、そっか」
二人ですると効率が悪い気もしたけど胸の内側が温かい。
この種から何が誕生するのだろう。
この企画に参加しています。面白い企画ありがとうございます。
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