夢うつつ(1分小説)

男は宝くじを買った。
当たれば何億という金が手に入る。
しかし、その可能性は限りなくゼロに近い。
しかし、必ずしもゼロではない。
男は、そのゼロでない可能性にかけた。
「当たったら何か欲しい物なんでも買ってやるぞ。」
と、買い始めた当初は、お店の子に言いふらしていたが、
1か月2か月と月日が経つうちに、口数も減った。
(粘りが大切さ)
というのが、男の信念だ。
宝くじが男の生活の原動力だった。
大きくは買わないが、ちびちびと買い続けている。
幸運の女神が微笑む日が来るのを男はじっと、釣りでもするように待っている。

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