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「蛇の言葉を話した男」を読んで

主人公は森に住んでいるが、多くの人が村へ行ってしまう。多分僕も村へ行くことを選ぶだろう。森ではクマが若い女をそそのかすが、現代社会のナンパ野郎の比喩だろう。主人公の親友パルテルも村へ行き、森に残った若い女はヒーエだけになってしまった。もうアダムとイブになるしかないような気がした。主人公が頼りにしていたおじさんも突然死んでしまい、あと頼れるのは母と蛇ぐらいだ。主人公はサラマンダを探しに行ったりもしたが、そう簡単には見つかるはずもなく、でもこの蛇が物語の鍵を握っているのは間違いないと思う。ウルガスは、生贄にすることばかり言って、とても賢人には思えない。ただの精神異常者だ。主人公のおじさんの方がよっぽど賢人だ。森は性と殺戮が支配する世界のように思えた。村の人たちは、神や悪魔の力を信じ、家の地位を高めたり、流行にのることをもとめるところは、現代人にも通ずるところがあるように思った。文明が進歩すれば、人間は退化するということなのだろう。主人公は殺戮に狂い、身近な人は、どんどん死んでいき、最後には、誰も見たことがなかった宝物である、サラマンドルを手に入れるけど、無用の長物となったこの宝物と一緒に一人で過ごすのは、哀れというか悲惨な人生だったとしか思えない。主人公は最後は悟った。森での生き方がいいのか、村での生き方がいいのか?私たちは村の人のような考え方生き方をしていると思った。村の人には善人がいないように感じた。今の生き方は本当に正しいのか洗脳され分からなくなっていると思った。物事の本質や真理を正しく考える術を持つことが大切だと思った。森にも悪人がいて、だから物語が暗くなってしまうのだろう。正しい生き方とは何なのか?立身出世や流行に合わせて生きるのではなく、各々が心の中にサラマンドルを見つけ穏やかに過ごすことなのかと思った。

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