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映画(1分小説)

僕は、いつも彼女と映画を観に行く。
彼女も映画を観に行くのが好きだ。
そして、観終わった後で、自論を語り合う。
今日も、一緒に映画を観に行ったが、いつもとは違った。

「私と映画とどっちが大切なの?」
「どっちって?どっちもだよ。」
「そういう言い方が気に入らないのよ。」
今日の彼女は機嫌が悪い。
こういう時は、丁寧に説明して、理解してもらうに限る。
「だから、君との時間を映画を観て大切に過ごしたいんだよ。」
「そういう、理屈っぽい言い方しないで。」
逆効果だった。
彼女が先に歩きだした。
僕は、咄嗟に彼女の後を追って、抱きしめてキスをした。
キスをした後、彼女は「映画のワンシーンみたい。」と嬉しそうだった。

彼女になんで、そんなに機嫌が悪かったのか、聞いてみた。
「お父さんが、いつまでも映画を観に行ってるのが気に入らないみたいで。」
(そうか、そういう事だったのか。)
「分かった。今から、お父さんに挨拶に行こう。」
「えっ!うん。ありがとう。」

まさかの急展開に、これからが、僕と彼女のの人生の映画の始まりだと思った。

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