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さようなら、ミスドのマグカップ

 先日、17年ほど使っていたミスドのマグカップをゴミに出しました。割れてはいませんでしたが、ヒビが入っており、そんな状態で何年も使っておりました。

 私の記憶では、今住んでいる地域に引っ越して間もなく、駅前にミスタードーナツが開店しました。マグカップはその開店記念品だったように思います。
 白くて小さい、ミスタードーナツのロゴが入ったものでした。小さいけれど厚くて丈夫だったので、ヒビが入っても使いつづけていました。ヒビが入っているので怖いと思い、何度も捨てようとしましたが、子供たちが4歳と2歳のときにこの地に引っ越してきて、ともに過ごしてきた日々を考えると、捨てられませんでした。

 しかし、スペースの都合で少しマグカップを減らさないといけない状況になってきました。

 私は、使えるものを簡単に捨てられない性分です。捨てる理由がなければ捨てられません。
 だから、いままでは大丈夫だったけれど、ヒビが入っていていつ割れるかわからないミスタードーナツのマグカップを、「さようなら」することにしました。紙でつつんでビニール袋に入れ、油性ペンで「われもの注意」と書きました。それを見ていた19歳の娘は、「すてちゃうの?」と寂しそうに言いました。

 物を捨てるときは、ときめきを殺し、ある程度非情にならなければなりません。

 ミスドのマグカップに別れを告げてからしばらくたったある日、スマホを見ていたら、偶然、ミスドの思いド募集キャンペーンというのが目に入ってきました。このときほど、あのマグカップの写真を撮っておけばよかったと思ったことはありません。でも、このキャンペーンのおかげであのマグカップのことを思い出しました。あのマグカップは、このキャンペーンのおかげで、姿はなくなっても思い出としてずっと私の心に残るでしょう。

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