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東急百貨店本店が閉店〜“百貨店はどこへ行く?“

1月31日付、朝日新聞朝刊に“電鉄系百貨店 どこへ行く?“という見出しの記事が掲載されていた。

同日、渋谷の東急百貨店本店が閉店することに伴う記事である。加えて、新宿の小田急百貨店は昨年10月に営業終了、双方とも建て替えが行われ高層ビルに変身する。そして、その場所に百貨店が入るかどうかは未定とのことである。

本日(2月1日)の新聞各紙でも、東急本店の閉店を報じている。

東京に出てきた私にとって、東急本店は不思議なデパートだった。大阪でメジャーな百貨店、阪急・阪神、高島屋はそれぞれ梅田・なんばの鉄道ターミナルに位置する。そごう・大丸は心斎橋という賑やかな商店街にあった。

東急本店は、鉄道系でありながらターミナルではなく、渋谷という繁華街でも少し外れた場所にある。一体、どんな人が行くのだろうと思っていた。

その後、その後背地とでも言う場所は、松濤などの高級住宅街であり、落ち着いて買い物ができる場所として重宝されていることを知る。外商比率が高い店でもあるが、デパートの“外商“、若い方には意味が分からないかもしれない。

1989年にBunkamuraができると、東急本店はぐっと身近なものになる。映画や舞台の前後のちょっとした食事、時間調整の為に店内をぶらつく。そのデパ地下は、比較的空いていて、子連れでも買い物が容易だった。屋上のビアガーデンに行ったこともある。

年齢と共に、渋谷の喧騒が負担になってくると、静かな場所としてますます重宝した。 多くの方が惜しんでいるが、上階の「丸善&ジュンク堂書店」は広々としたワンフロアの書店で、渋谷のみならず、東京でもピカイチの存在だった。Bunkamura、近接したミニシアター、ユーロスペースシネマヴェーラ渋谷、そして書店で、上質の文化エリアを形成していた。Bunkamuraは存続するのだろうが、一時的に閉館する。

閉店を惜しんで、多くの人が東急本店を訪れていたと報道されている。普段から、あれだけの人が集まっていたら状況も違ったのかもしれない。

冷静に考えると、私自身は、食材・惣菜以外で、百貨店・デパートで買い物をすることは殆どなくなった。もっと言えば、ネットでの買い物が生活スタイルの基本となった。洋服は、年2回、決まった店の“セール“時に買うだけである。

電子書籍が中心となり、リアルの書店はショールームとなっている。“書店“という、自分にとっても大切な場所を苦しめているという自覚はある。紙の書籍は大好きである。それでも、自宅内のスペースの問題、その利便性から、やむを得ない。

女性は少し違うのだろうが、そういう人が増えているのだろうから、東急本店などの電鉄系に限らず、デパート業界は総体として大変なのだろう。惜しむ気落ちはあるが、自分自身の変化を考えると必然とも思う。

週末のプチ贅沢場所から、憩いの場所へと変化し、ただでさえ売上が落ちているところに、コロナ禍もきっかけとした生活スタイルの変容。“百貨店はどこへ行く?“


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