見出し画像

ハロウィンの季節〜いつの間に日本に定着したのか

ラジオ番組で、若い女性アナウンサーが爆笑問題の太田光と話していた。ハロウィンの話題になり、「いつから日本でも仮装する習慣ができたんだろう」という意味の発言をする太田に対して、女性アナは「昔からあるんじゃないんですか?」と反応していた。

彼女は子供の頃から、ハロウィンの季節には魔女の格好をしており、昔からある習慣だと思っていたらしい。時代は変わったものである。

私がハロウィンなるものを知ったのは、チャーリー・ブラウンやスヌーピーが登場するアメリカの漫画「ピーナッツ」だったと思う。小学校高学年の頃だったろうか、「ピーナッツ」のコミックを2冊ほど持っていた。英語オリジナルに谷川俊太郎の訳がついたものである。その中で、ハロウィンのシーンが登場する。仮装をして「Trick or Treat!」と隣家を訪問してお菓子をもらう。脇にはカボチャの“ジャック・オー・ランタン“が描かれている。アメリカにはこんな習慣があるんだと、遠い世界における習慣と認識しちた。

そもそもハロウィンとはなにか。広辞苑によると、<(前略)ケルト的伝統に起源を持つ収穫祭で、魔除けの意味を持つ>と書かれていた。ケルト人の暦で10月31日は大晦日に当たる。この夜には、悪霊や魔女を追い出すことができると信じられており、ウェールズなどケルト民族の国では、若者や子供が仮装し村中を歩き、御馳走やお菓子を食べさせてもらったという習慣があった。これを11月1日の万聖節の前夜祭として、キリスト教文化に取り入れたものである。万聖節はキリスト教の諸聖人を崇敬する日である。

イギリスに住み始めた頃、娘たちは友人家族と共に、仮装して近所を回ってお菓子をゲットしていた。我が家でも、イタズラされないよう、訪問に備えてお菓子を用意した。近所の子供達に加え、知らない子供も数人たずねて来たが、中には一人で思いつめたような表情でやってくる子供もいた。その後、セキュリティの問題から、事前に訪問する家を決め、予定されたルートを回るスタイルに変化したと思う。

こうして初めてのハロウィン経験をしたのだが、日本的文化とは遠い存在だと思っていた。ところが、帰国してみると、ハロウィン商戦のようなものが発生しており、さらには渋谷で若者が大騒ぎするというイベントとなり、近づきたくないものになっていた。水戸に出張した際、夕刻に駅に着くと、仮装した若者を大勢見かけた。よく考えると、ハロウィンの季節の金曜日だった。

自分とは関係ない存在ではあるが、店先のディスプレイなど、嫌でも目に入ってくるものはある。家の玄関にカボチャを飾っている人もいる。

先日は、日本橋三越本店の前を通りがかって驚愕した。あの誇り高きライオンの脇にカボチャが置かれている。それどころか、ライオンは魔女の三角帽を被されている。心から気の毒に思えた。

三越のライオンは、ロンドンのトラファルガー・スクエアに鎮座するライオン像を取り入れたものである。ロンドンのオリジナルは大丈夫だろうか。

などと書いていたら、ロンドンに住む長女から写真が送られてきた。孫娘と共に、カボチャ畑を訪れ、カボチャを仕入れている。ご苦労なことである


画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?