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ウェス・アンダーソンが編集した雑誌〜映画「フレンチ・ディスパッチ」

良いのか悪いのかよく分からないが、ディズニー傘下の映画はあっという間に「ディズニープラス」で配信されるように感じる。ディズニー傘下の一つは「20世紀スタジオ(昔の20世紀FOX)」だが、「ウェスト・サイド・ストーリー」はとっくに配信が開始されているし、「ナイル殺人事件」は4月13日から配信が開始された。

そして、ウェス・アンダーソン監督の「フレンチ・ディスパッチ」に至っては、未だ映画館で上映されているのに、随分前から配信されている。映画館に行こうかと思っていたが、配信で観ることにした。

ウェス・アンダーソンは、2014年の「グランド・ブダペスト・ホテル」を観て大層気に入ったので新作を楽しみにしていた。それ以来の、実写監督作品が「フレンチ・ディスパッチ」、正式なタイトルは「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊」という長ったらしいものである。

「ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン」は、アメリカの新聞、週次に刊行される新聞の別冊はフランスの町で編集される。それは「フレンチ・ディスパッチ」という誌名となり、世界的に販売されるようになったという設定である。

一流の執筆陣を誇る雑誌の創始者であり編集長(ビル・マーレー)が急死する。彼の遺言は、自分の死後はその追悼号1冊のみを発行し、「フレンチ・ディスパッチ」は廃刊とするというものであった。

最終の追悼号は、4つの記事と死亡記事で編集される。映画はそれぞれの記事が映像化され展開される、オムニバス映画である。

各話は、個性的で、おしゃれで、ちょっと不思議で可笑しい。世界を皮肉っている感じもあれば、ひとを小馬鹿にしつつ、愛している雰囲気もある。そう、先月見た、ソール・スタインバーグの絵のようでもある。

映画のクローシング・クレジットで、献辞として、この映画が捧げられた人の名前が流れる。その最初に登場するのが、雑誌「THE NEW YORKER」の創始者で編集長だった、ハロルド・ロス。そして、この週刊誌と関係が深い編集者・ジャーナリスト・作家らの名前が続く。スタインバーグは、「THE NEW YORKER」に多くの作品を載せた。

ウェス・アンダーソンは、映画という手法を借り、大好きだった「THE NEW YORKER」を自身で編集したのだった。映画に登場する人物の何人かは、献辞に掲げられた人をモデルにしている。(私の知らない名前ばかりだったが、唯一、ジェームス・サーバーの名があった。ダニー・ケイ主演の映画「虹を掴む男」の原作者である)

ジェームス・サーバーの小説が読みたくなった




「サージェント ペパーズ」風のポスター


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