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最強のフリーペーパー〜「銀座百点」800号

「銀座百点」をフリーペーパーと呼ぶのは、必ずしも正しくないとは思う。フリーペーパーというと、駅のラックなどにある薄いものをイメージする。また、「銀座百点」は価格275円と印刷され、有料で購読できる。そして、何よりもコンテンツの質があまりにも高い。

しかし、銀座のこれという店には“ご自由にどうぞ”と置いてあり、私は必ずピックアップする。「銀座百点」はそんな最強のフリーペーパーである。ただ、コロナ禍で銀座に出向く機会も減り、「銀座百点」もしばらく見ていなかった。

自由が丘に「天一」があり、たまにランチで訪れ、季節の天ぷらを楽しむのだが、「銀座百点」が置いてあった。記念の800号である。少しだけ内容を紹介しよう。

「銀座百点」は1955年、100軒の専門店、“銀座百店会”によって創刊された。当時からの会員店は38軒で、「天一」もその1軒である。この号では、その38軒が当時を振り返っている。

「竹葉亭」のうな丼(現在3200円)は200円だった。<進駐軍慰問のために来日した歌手、フランク・シナトラが天一をたいへん気に入り、その後も来日のたびに訪れた>。 <LPレコードの黎明期>、<LP盤は1600円〜と高価>で、「山野楽器」曰く、<みなさん試聴のうえ購入します>。

さらに、片岡仁左衛門と坂東玉三郎の特別対談が掲載されている。二人は、50年以上のつきあいだが、一緒に食事をしたのは<三回あったかどうか>。仁左衛門は勘三郎とよく一緒で、松島屋曰く、<よくもまぁ、あんなに遊んでたなぁ>。一方の玉三郎は、<ノリちゃん(勘三郎)に誘われても、ほとんど「ごめんなさい、きょういけないの」と断ってばっかりでした>。

さらに、以前に書いた4月の歌舞伎座「桜姫」初日、仁左衛門は36年ぶりの舞台に、<これだけ緊張したのはいつ以来だったか>と語り、玉三郎は、<初日に花道で会ったら、「ぼくな、緊張してんねん」って小声でおっしゃったでしょう。「えっ、あんた緊張してんの」ってこっちも小声で返して(笑)>。これだけで、二人の醸し出す色気が伝わる。

編集後記 “わたしたちの銀座”、スタッフの<「銀座が好き」との思い>が伝わってくる。“銀座のかおり”を届けてきた「銀座百点」、銀座の街と共に永遠であって欲しい


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