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ローリング・ストーンズ伝説のライブが正式リリース〜「ライブ・アット・エル・モカンボ」(その1)

1976年ローリング・ストーンズはアルバム「ブラック・アンド・ブルー」を発表、コンサート・ツアーを実施、そのパリ公演が1977年NHKの「ヤング・ミュージック・ショー」で放送されたことについて、以前少し触れた

パリ公演は1977年ライブ・アルバムにもなる。アンディ・ウォーホールの素晴らしいジャケットに飾られた「ラブ・ユー・ライブ」、レコード・ジャケットがアートだった時代である。このレコードは2枚組LPで私も所有していた。

面白い構成になっていて、1枚目の両面、2枚目のB面は、パリ公演を中心としたアリーナ公演からのライブ。ストーンズの代表曲がずらっと並ぶ。ライブ盤は1970年の「ゲット・ヤー・ヤヤズ・アウト」以来なので、当然だろう。一方、前作「ブラック・アンド・ブルー」からは、重複感を意識してか“ホット・スタッフ”のみが収録されている。

そして、残る2枚目のA面は、トロントのライブハウス「エル・モカンボ」での、シークレット・ライブからの録音で、4曲全てがロックンロール/ブルースのカバー曲である。

大観衆の前でライブを行うストーンズが、300名程度のクラブでギグを行った。「ラブ・ユー・ライブ」に収められた演奏は、世に出た頃を思い出しながら楽しんでいるようにも聞こえる、貴重なライブ音源だった。

そのライブは総体としても素晴らしいものだったと伝わっていたが、その全容が今回公式にリリースされたのである。

今回の発売に合わせて、当時の担当者がこのシークレット・ライブがいかに成立したかを語っている。

ラジオ番組でカナダのバンド、エイプリル・ワインがメイン、無名のコックローチズが前座というライブ2夜の告知を行う。そして、「ストーンズのライブを見るために何をしますか?」をテーマに投稿を募集、応募者の中からライブへの招待客を選んだ。

ライブ当日、観客はコックローチズの正体はストーンズだと知り、エイプリル・ワインは前座にまわる。観客はさぞかし興奮したことだろう。SNSなどない時代、秘密は守られ2日目に突入するかと思われたが、カナダの首相トリュドーの妻マーガレット(ミック・ジャガーとの関係が噂されていた)が初日に現れたことにより、報道機関にキャッチされてしまう。

なお、前述のパリ公演を含む欧州ツアーが終了したのは1976年夏。その後、ストーンズは7ヶ月間ライブを行っていなかった状況で、1977年3月エル・モカンボのライブが行われた。そして、1976-77年は、キース・リチャーズにとって激動の時代だった。

これを書くにあたって、彼の自伝「LIFE」を拾い読みした。明日は、「ラブ・ユー・ライブ」「ライブ・アット・エル・モカンボ」の頃のキースについて少し記すことにする



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