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手の中の音楽14〜トム・ウェイツの「Small Change」と"Jersey Girl"(その2)

アルバム「Small Change」は同一の世界観の中で、様々な物語を紡いでいくが、ちょっとユーモラスで素敵な曲が、“The Piano Has Been Drinking (Not Me)“である。

‘ピアノがずっと酒を飲んでいる 俺のネクタイは居眠りしてる
バンドはニューヨークに帰っていった ジュークボックスは小便しなきゃいけない
カーペットは散髪が必要だし、スポットライトは脱獄したように見える
電話はタバコを切らしていて、バルコニーは何かをモノにしようとしている
そして、ピアノは飲み続けている‘

"Jitterbug Boy"には、過去の栄光を過大に語る男が登場、"Invitation to the Blues"では、男と女の世界、そしてそれは“the Blues”ー憂鬱への招待状であると歌われる。

物語の終わり、アルバム最後の曲、"I Can't Wait to Get Off Work (And See My Baby on Montgomery Avenue)"でトムは何とか仕事を終え、彼女の元へ帰ろうとする。

‘仕事を終えてあの娘に会う、待ちきれない
「俺のためにポーチの明かりは点けておくから」と言っていた
俺はだらしなく、尊大で、気はそぞろで、痛々しい
でもここでの掃除仕事は金をくれる
明日の夜も俺をやとってくれる‘

'このホウキは彼女にならなきゃいけない
急げば、多分
明け方ほのかに明るくなる前に、仕事は終わる’

こうして、「Small Change」の世界は幕を閉じる。

これを書くにあたって、当時のアルバムを聴き直したのだが、アサイラム・レーベルからの最後のアルバム「Heartattack and Vine」の中の、“Jersey Girl”という曲に改めて感動したので、どうしても書いておいきたくなった。

歌は、ニュージャージーに住む彼女に会いに行く男の歌、シンプルなラブソングである。<不良どもに書かずりあっている暇はない>

‘なぜなら、今夜俺は車を走らせる
川向こうのジャージー・サイドに
あの娘をカーニバルに連れて行くんだ’

’俺の小さな天使は全てをもたらしてくれる
いつか、俺の指輪をはめてくれる、知ってるんだ’

この曲は、ブルース・スプリングスティーンにカバーされ、彼の重要なレパートリーともなる


献立日記(2021/10/10)
よだれ鶏
龍鳳ふかひれスープ(石渡商店
トマトとインゲンの卵炒め



*スプリングスティーン、まさしくニュージャージーでのライブ


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