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アメリカン・フットボールの季節に向けて〜Netflix「クォーターバック:不屈の求道者」

いよいよ、アメリカン・フットボールの季節が近づいてきた。アメリカのプロリーグNFLは、9月7日(日本時間8日)に開幕する。

観る立場としてのウォーミングアップに最適な番組が、Netflixのスポーツ・シリーズ「クォーターバック:不屈の求道者」だ。

Netflixのドキュメンタリーはよく出来たものが多いが、全8話のこのシリーズも面白い。

焦点を当てるのは、3人のクォーターバック(QB)で、それぞれが対照的である。

一人は、昨シーズンのスーパーボウルを制したカンサスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ。シーズンMVPとスーパーボウルMVPの両方を獲得した、北米スポーツ界の最大のスターの一人である。ドラフト10位で2017年に入団、2018年から正QBとなりMVP獲得。2019年にはスーパーボウル制覇、2020年は敗退するもスーパーボウル出場、そして昨シーズン2度目の優勝と、スター街道を走ってきた。

二人目は、ミネソタ・バイキングスのカーク・カズンズ。ドラフト102位指名。プロ入り後は苦労しながらも正QBの位置を勝ち取り、昨シーズン、花が開き地区優勝を果たした。スター然としたマホームズと違い、見た目は普通の白人青年である。

そして三人目は、アトランタ・ファルコンズのマーカス・マリオタ。 オレゴン大学時代は、ハイズマン賞(全米最優秀選手)受賞、ドラフト2位でテネシー・タイタンズに入団。しかし、マホームズのような華麗なパフォーマンスは挙げられず、2020年にレイダーズにトレード、先発すらできなかった。そして、昨シーズン ファルコンズに移籍、正QBとして再起をかける。

こうした立場の異なる三人のQBの2022年シーズンのプレー、試合への準備、プライベートな側面を映し出し、共通するQBの苦しみや喜び、そして対照的な側面を見せてくれる。

このシリーズのエグゼクティブ・プロデューサーでもある、殿堂入りした名QBペイトン・マニングが、バイアスがあるがとしつつ、「スポーツで最も厳しいポジションは、NFLのQBだ」と語る。

この番組を観ると、その意味がよく分かる。フィジカルに、精神的に、ギリギリのところで彼らは戦っている。

アメリカン・フットボールのファンは当然のこと、あまり知らない方にとっても面白く見られるのではないだろうか。

QBが攻撃の司令塔であること、ボールをゴールに持ち込む(タッチダウン)と6点、その後に与えられるボーナスポイントがキックで1点、通常の攻撃で2点であること。あとは、通常の攻撃でキックを選択(フィールド・ゴール、FG)し入れると3点。このくらいを知っておけば十分だと思う。

三人のパートナーが、またそれぞれ特徴があって、それもまた興味をそそられる。

個人的には、この番組を見て、カズンズを応援したくなった。華があまりなく、興味を持ってフォローしていなかったQBだったが(それが、よく分かるのだが)、彼の魅力が理解できた気がする。

今期のNFLを観る上で、楽しみが増えること間違いないドキュメンタリー、是非ご覧ください


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