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映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」〜ビーチ・ボーイズ初心者へのご案内(その2)

(承前)

「ラブ&マーシー」への道のり。前回、ビーチ・ボーイズのベスト・アルバム“Enldess Summer“を紹介、作品には1965年までの楽曲が収録されていると書いた。

ブライアン・ウィルソンにとって、この1965年というのが重要な年である。もともと、繊細な神経の持ち主のブライアンにとって、音楽制作、ツアー、コンサートから来るストレスは相当なものであり、その蓄積の結果、1964年末にバンドのツアーには同行しないと宣言する。ビーチ・ボーイズは、ブライアン抜きでコンサート・ツアーを実行することになる。

そして、その間にブライアンは新しいアルバム、新しいビーチ・ボーイズの創出に力を注ぐことになる。その原動力の一つがライバルのビートルズである。1965年にビートズルはアルバム「ラバーソウル」をリリースし、ブライアンは衝撃を受ける。そこに収められたのは、アイドル的なロック・バンドから脱皮したビートルズであり、その音楽性、アルバムを全体を一つの世界として創出した作品性に刺激を受ける。

これらを経て、ブライアンが1966年に生み出したのが、ポピュラー音楽史に燦然と輝く「ペットサウンズ」である。以前紹介した、米「The Rolling Stone」誌が2020年に発表した“史上最も偉大なアルバム500“の第2位である。

ビーチ・ボーイズ初心者の方は、「Endless Summer」を聴いた後、「ペットサウンズ」に進んで下さい。ビーチ・ボーイズの音楽が大きく転換したことを認識すると共に、50年以上の時を経ても色あせない素晴らしさを感じていただけることと思う。

もう一点、思い出して欲しい。「Endless Summer」のボーナス・トラック、“Good Vibrations“は、「ペットサウンズ」の後、1967年の作品である。

「Endless Summer」の世界、「ペットサウンズ」の制作、"Good Vibrations“という流れを知っておくと、「ラブ&マーシー」は一層楽しめるはずである。

さて、いよいよ映画へと向かおう



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