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日本のデジタル行政の限界〜マイナンバーカードの更新

マイナンバーカードの更新手続きに関する手紙が送られてきました。正確には、「マイナンバーカード・電子証明書 有効期限通知書」です。

「マイナンバーカードに有効期限などあるのか?」と思いつつ、何か回答書でも送るのかと封を開けてビックリ。何と、マイナンバーカードと送られてきた通知書を持って、市区町村窓口に手続きに来いとのこと。(もちろん、もっと丁寧な表現ですが)

調べてみたところ、マイナンバーカード自体の有効期間は10年(正確には発行日から10回目の誕生日)ですが、電子証明書の期限は5年となります。電子証明書って何だと思う方、こういうことです。

マイナンバーカードには電子証明書というものを格納することができ、この機能を使うと税金の申告が電子申請でできるほか、住民票や戸籍謄本等がコンビニで取得できます。特に後者はとても便利で、カードを取得した最大のメリットでした。 逆に言うと、この電子証明書としての機能がなければ、マイナンバーカードを作る意義はあまりないようにも感じます。

しか〜し、有効期限は5年。カード自体は10年なのになぜ? 役所の説明は、<電子証明書の安全性は暗号技術により担保されています。有効期間が長くなるほど、コンピュータの性能向上や暗号解読技術の進歩により>暗号解読のおそれがあり、したがって5年だそうです。

分かったような分からないような理屈です。仮に、暗号解読技術が進み、安全性が脅かされているとすると、それは全てのカードを更新しなければ意味のないことで、5年ごとという期限に何か意味はあるのでしょうか? 技術の進歩が問題であれば、もっと頻繁に更新しなければならないのでは? 

百歩譲って、更新が必要として、なぜにわざわざ窓口に行く必要があるの? 私の住む目黒区の場合、区役所か、数カ所ある地区サービス事務所に出向く必要があり、そのいずれも会社の行き帰りに立ち寄れるような便利な場所にはありません。しかも、区役所以外は5時半には閉まり土日は休みです。

Q&Aには回答が掲載されていました。


<電子証明書の発行・更新、パスワードの再設定がインターネット上でできるようになってしまうと、持ち主を偽って電子申請をすることができ、手続の安全性が損なわれてしまいます。そのため、電子証明書の発行や更新、パスワードの再設定は、お住まいの市区町村の窓口で、顔写真付きの本人確認書類を基に厳格な本人確認を行って実施しています。>

だそうです。クレジット・カード、キャッシュ・カードのように、マイナンバーカードと同程度、あるいはそれ以上のリスクのあるカードの交付ですら面前では行われていません。日本には犯罪収益移転防止法(いわゆる犯収法)という法律があり、マネーロンダリング等を防止するために、金融機関においては厳格な本人確認が要求されています。

ただし、テクノロジーの発展、スマホの普及により、電子的に本人確認する方法も法令で認められています。そんな世の中で、更新のための本人確認を窓口で手続きとは。。。

マイナンバーの復旧のために、ポイントだのなんだの色々やっていますが、こういう根本的な利便性を解決しなければ、あまり意味がないのでは?

ちなみにカード自体の有効期限は前述の通り10年で、この更新はオンラインでできます。しかし、電子証明書機能を保持しようとすると、その期限がまた来るので、結局は窓口に行かなければならない。。。。なんだか仕組みの不備のような気もしますねぇ。

日本のデジタル行政の限界をあらためて感じました

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