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モンローは“おバカ”じゃない〜映画「紳士は金髪がお好き」

NHKの朝のニュースの合間に、“古いニュース”という過去のニュース映像が流れることがあるが、そこでマリリン・モンロー来日のニュースが流れていた。ヤンキースの選手、ジョー・ディマジオと結婚したモンローは、1954年二人で来日。宿泊したホテルの前にはファンが集まり、モンローは窓から顔を出し手を振った。

2月26日放送の「サタデープラス」では、モンローが来日した際、福岡のレストラン「花の木」(ロイヤルホスト系の第一号店)を訪れ、その店のオニオングラタンスープを絶賛したという話題を放送していた。

そして先日書いた、リバイバル上映企画「愛しの映画ミュージカルたち」で上映された作品の一つが、「紳士は金髪がお好き」、マリリン・モンローとジェーン・ラッセルの主演である。

ということで、「紳士が金髪がお好き」である。1953年の「ナイアガラ」で初主演し成功をおさめたモンローの主演第2作目、同年の公開である。(アマプラ、U-Nextなどで配信)

モンローが演じるのは、ローレライという女性。“お金持ち”にしか興味がない金髪美人の役で、今風に言うと”おバカ”な女性である。それを支えるのが、しっかりものだが男に弱い、親友のドロシー(ジェーン・ラッセル)である。

この映画の中のモンローは、まさしく私がモンローに対して抱くイメージを体現している。自身の女性的な魅力を十分理解し、それを生かすべく打算的に男性に接する、ちょっと頭のネジが緩んでいる女性である。

中身は、ドタバタのラブ・コメディーだが、監督ハワード・ホークスの職人的手腕が手堅くまとめ、大衆が望むモンローの魅力が全編にわたってほとばしる。

中でも、映画中の有名な楽曲「Diamonds Are a Girl's Best Friend」、このシーンは何度見ても楽しめる。モンローの歌は上手すぎないのが魅力である。

モンロー演じる、ローレライはお金大好きな“おバカ”キャラではあるのだが、本質的にバカなのではない。恋人の金持ちの父親がローレライに対し、「本性を現したな 金目当てと認めたぞ」と批判するのだが、それに対して彼女は、「美人とお金持ちは似てるのよ」「一つの基準で判断される」、それでも「相手が喜ぶならいいじゃない」とし、「娘さんが貧しい男と結婚すると言ったら?」と尋ね、「もっといい人と結婚させたいと思うはず」、なのに「お金を望むのは悪いこと?」と論破する。

父親はモンローについて、「バカだと聞いてたが、違うじゃないか」。するとローレライは、「男の人は頭のいい女性が嫌いだけれど」、恋人のガスだけは「私の知性にも興味を持ってくれると」と話す。

マリリン・モンローは、大衆によって作られたそのイメージと自分自身とのギャップに苦しんだのかもしれない。しかし、大衆はバカではなく、モンローの秘めたる才能、イメージとの差異を理解していたし、その知性についても興味を持っていたと思う。

彼女がそう考えることができたなら、若くして世界を去ることはなかったのかもしれない



こちらは、マドンナの“Material Girl”


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