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イングランドにおける感染対応〜“共生”に向けての政治判断

サッカーEURO2020、イングランドの快進撃でイギリスは大いに盛り上がっている。本日からの準決勝・決勝はロンドンでの開催、ボルテージは上がるのは無理もない。

一方で、6万人以上の観客を入れる予定に対し、ドイツのメルケル首相らが懸念や批判を表明している。スタジアムの入場については、ワクチン接種証明や抗体証明などを課しているので、一定のコントロールは効いているだろうが、むしろ街中でのパブリックビューイングの映像などを見ていると、マスク無し、限度無しの飲酒は、「こりゃまずいだろう」と思わざるを得ない。

イギリスのコロナ新規感染者は、6月後半から再び上昇し、足元は一日2万人を超えている。ロンドン在住の娘に、現地の状況を聞いてみた。私が「サッカーで盛り上がっているけれど、感染者が増えていることに対してはどんな反応なの?」 と尋ねると、「殆どの人がワクチン打っているので、感染したとしても重症化しないという認識なんじゃない」と言っていた。

イギリスでは、2回目のワクチン接種を受けた人は半数程度、少なくとも1回摂取した人は7割近くに達している。そして、BBCのサイトの統計を見ると、今回の感染の波は昨年秋と同様のトレンドだが、入院者数は極めて少なく(上のグラフ)、死亡者も同様である。

英メディアが報じた政府の認識も、ワクチン接種拡大により若者から高齢者への感染が防御され、重症化率も低くなり、医療機関に対するプレッシャーも軽減されているということのようだ。

こんなことを書いていると、ジョンソン首相は感染対策の規制撤廃の方針を打ち出したとの報が流れた。BBCの報道によると、<ジョンソン首相は、月後半には1日の感染者数は5万人を超えると警告し、『我々は、残念ながら、コロナによる死亡者増を受け入れなければならない』>とのこと。

(原文)But he warned cases were predicted to rise to 50,000 a day later this month and that "we must reconcile ourselves, sadly, to more deaths from Covid".

それでも、ワクチンがこれだけ普及し、リスクが提言されている状況下で行動しなければ、社会を元に戻すことはできないとの考え方である。まさしく、コロナとの“共生”に大きく舵を切ろうとしている。

この決断が、具体的にどう進むか、そして成功するかどうか、誰も分からない。私もコメントできる立場ではない。ただ、日本も早晩コロナとの“共生”に進まなければならない。そこには、政治判断が求められ、リーダーはジョンソン首相のようにリスクをしっかり開示して、国民に対してリスクテイクが是であることを発信しなければならない


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