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五月まで満開〜ダミアン・ハーストの「桜」

3月26日土曜日、二週間ほど前に、このあたりかと予測し、六本木の東京ミッドタウンの「ユニオン・スクエア東京」の席を予約した。桜を愛でながらランチをとるためだ。当日はあいにくの曇天、週前半は寒かったので桜には少し早いかと思ったが、六〜七分咲きという感じだった。

六本木に来た目的はもう一つ。国立新美術館で開催されている、「ダミアン・ハースト 桜」を観るためである。

ダミアン・ハーストはイギリスの現代画家だが、今回の展覧会まで私は知らなかった。この企画展に合わせて作成されたドキュメンタリーで、彼はアメリカに渡航した時のエピソードを話している。入国審査時に、どんなアーチストなのか聞かれ、「“動物をホルマリン漬けにして ペンキで絵を描く“と答えた」と話している。(そして、別室に連れて行かれたそうだが)

実際、彼は牛やサメをホルマリン漬けにした「作品」を発表している。ただし、この展覧会はそうした作品は並んでおらず、桜をテーマにした大型の作品24点である。

会場の壁は、さまざまな満開の桜で埋められている。我々は桜を見る時、その花を見るのだが、花の色は木によって、当たる光によって様々である。そして、目は桜の花のみならず、垣間見られる枝、木の向こう側にある空や建物などの風景も混ぜあわせながら楽しんでいる。

そして、桜を見ながら、それぞれに色々なことを思う。あるいは無心になる。桜並木を歩く、卒園式帰りの家族を見て、桜に目を転じ、自らの過去、まだ幼い孫の未来を考える。「平和」に感謝し、ウクライナの人々に一刻も早く平穏が訪れることを祈る。

ダミアン・ハーストは、そんな心の中に映し出された「桜」を描いている。

私の言語能力は、この程度でしかないので、機会があれば是非ご覧頂きたい。

昨日(3月27日)、都立大学駅につながる緑道の桜並木はほぼ満開だった。いずれ、桜は散ってしまう。しかし、国立新美術館に飾られた、ダミアン・ハーストの「桜」は幸いにして五月まで満開である


*前述のドキュメンタリー、なかなか面白い


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