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寒空、北風吹くすさぶ中〜ウェディングドレスがはためく

約10年前、香港で勤務していた頃、私のPA(いわゆる秘書で香港人、日本留学経験があり日本語堪能)が、「休暇を頂きたいのですが」と。私は、「いいよ、どこか行くの?」と聞いたところ、「台湾に写真を撮りに行くんです」と答えた。

私は、 「写真? どういうこと?」と尋ねた。彼女は数ヶ月後に結婚を控えていたのだが、その記念写真を撮りに台湾まで行くのだと言う。香港の女性は、結婚写真を風光明媚な場所で撮るのが普通のようで、お嬢様の彼女は、わざわざ台湾まで行くらしい。なお、休暇明けに彼女は、「天気が悪かったので、もう一度休暇を貰って、再度行かなくてはならない」と私に告げた。

時は遡り、30年以上前の話。私と妻は何かの用事で、東京のホテルオークラに行き、テラスレストランでランチをとっていた。すると、窓の外のきれいな庭で、ウェディングドレスの女性が、パートナーと記念写真を撮っていた。見ると、相手の男性は私の後輩で、私は結婚披露宴に招待されていた。てっきり日取りを誤解してすっぽかしたと思い、あわててレストランを出て、ホテルのレセプションで恐る恐る、「〇〇家の披露宴は今日ですか?」と尋ねた。すると、「いえ、〇〇日です。当日は多忙なので、事前に写真を撮られています」。後輩の相手は、かなりの大きさのオーナー企業の令嬢。考えてみれば、さもありなんであるが、私にはとても想像がつかなかった。

そのようなメンタリティなので、PAの行動に驚いたのだが、その後、上海に旅行に行った際、フォトスポットで、多くの結婚衣装姿のカップルが写真を撮っていて「中華圏のトレンドを実感した」。

そして、PAの披露宴に出席すると、その受付には多くの結婚記念写真が飾られ、それが印刷されたしおりなどのグッズを手渡された。やれやれである。

さて、17時頃に退社し、丸の内を歩いていると、ほぼ毎日ウェディングドレス姿で写真を撮るカップルを見かける。この季節さぞかし寒いだろうと思うが、幸せそうな人々である。それにしても、いつから日本でもこうなったのだろう。

丸の内界隈には、こうした写真撮影をアレンジする業者のオフィスもいくつか見かける。確かに、コロナ禍で披露宴の開催もままならなくなる中、せめて写真くらい華やかにという方もいるだろう。

昨日は、3組もいた。それにしても寒そうだ〜家で妻に言うと「あなたに関係ないじゃない」と返されれた。確かに、皆さん幸せそうではあるので、余計なことである


*こういう時代なのですね。自撮りする気持ちが全く理解できない私には、不思議すぎます


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