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「文藝春秋」のエマニュエル・トッドと「毎日新聞」〜世界はどうなるのか(その2)

4月18日毎日新聞の「風知草」で、山田孝男特別編集委員は、映画監督の河瀬直美氏が東京大学の祝辞で「ロシアという国を悪者にすることは簡単」と述べたことが批判されたことから始まる。

私は彼女の祝辞を読んでみたが、重要な視点が述べられている。これに対し政治学者の方々が批判をしているようだが、的が外れているように思える。

山田氏は、<とはいえ、戦争の背景を考えることは自由だし、むしろ必要である>と続け、文藝春秋のトエマニュエル・トッド氏のインタビューに言及する。

繰り返しになるが、足下の戦争を終結させることが最優先事項であることは間違いない。ただし、同時にその後の世界のことを考えなければならない。

どのような結末になろうと、ロシアという国は無くならない。プーチン政権がどうなるかも含め、不確定要素は多くある。ただし、当面はロシアと西側諸国との緊張状態は簡単には解消されてないであろう。フィンランドとスウェーデンがNATO加盟の動きを示している。彼らからすると、ロシアが攻めてこないとは限らない中、当然の動きであるが、このことはロシアの態度を一層硬化させるだろう。

一方で、欧州も決して一枚岩ではなく、トッド氏は「欧州」を維持するために、<『ロシア』という“外敵“を必要としているのではないか>と話し、これは河瀬氏の言葉にも通じることである。

こうした中で、日本はこれからの世界にどう立ち向かうかが問われている。今回の件で、改めて確認されたのは、アメリカの弱体化、そして国を守るのは自分自身以外にないということである。

トッド氏の言う「核武装」 というのも一つの考え方である。そんなことは考えず、戦争は天災と同じと考え、万が一襲ってきたら、甘んじて受け入れるしかないという見解もあるだろう。

また、ウクライナ問題は遠い国の火事ではなく、日本人の日々の生活に直結しており、その影響は既に現実のものになっている。ロシアに対する恒久的な経済制裁は、世界経済・日本経済にどのようなインパクトを与えるのか。

山田氏は、こう結んでいる。<ウクライナの事態は平和に慣れた日本人の目を覚まさせた>、<国際情勢を自ら読み解き、戦争ビジネスに加担しない日本人でありたい>

山田氏は、その記事の後半で遠藤誉の新刊「ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略」に触れている。私はその本を早速読んだが、そこには“戦争ビジネス“の様子も書かれている。同書については、後日。

とにかく、歴史の転換点に立たされていることは確かであり、大きな視点と、日々の生活というミクロの視点、双方が求められている



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