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手の中の音楽13(その1)〜映画「マンハッタン」と“ラプソディ・イン・ブルー”

高校時代、クラシック音楽にはあまり興味はなかった。私にとってはロックの時代である。そんな頃、クラシックへの入口を示してくれたのは、ウディ・アレン監督の映画「マンハッタン」だった。

アカデミー賞を受賞した「アニー・ホール」をきっかけに、彼の映画を見始める。よく理解できたわけではないが、高校生にとってはニューヨークでのおしゃれな生活と、大人の世界を見た。

次作は「インテリア」。ウディ・アレンが敬愛するスウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマンを意識したこの作品は、あまりにもシリアスで期待したウディ・アレン作品ではなかった。友人は、「メアリー・ベス・ハートがめっちゃいい」と言っていた。

そして「マンハッタン」である。公開時は、高校3年生、大学受験が終わり東京行きをひかえた3月に観た。オープニング、白黒のニューヨークの風景をバックに流れるのがガーシュイン作曲の「ラプソディ・イン・ブルー」。このシーンで、一気に持っていかれた。気分は、ニューヨーカーである。

ドラマは、ウディ・アレン、若い恋人(マリエル・ヘミングウェイ)、アレンの友人、その不倫相手(ダイアン・キートン)らをめぐる恋愛模様である。シンプルとも言える大人の世界が、高校生の私にも分かりやすく、魅力的に感じた。

ちなみに、アレンの元妻役がメリル・ストリープで、この年、「クレイマー・クレイマー」でアカデミー助演女優賞を獲得、大女優への道を歩み出す。

その後も、ウディ・アレンの映画はフォローすることになるのだが、今だにベスト1は「マンハッタン」であり、何度も見返している。そして、この映画が私をガーシュインの音楽に導き、“ラプソディ・イン・ブルー”を通じてクラシック音楽への道を開いた。

今回、改めて「マンハッタン」を観た。やはり素敵な映画である。その秘密は、映画の主役はニューヨークであり、ガーシュインの音楽であることのようにも見えた。もちろん、若き日のメリル・ストリープは美しい。ダイアン・キートンも魅力的。ウディ・アレンの脚本も素晴らしい。(その後の、ウディ・アレンをめぐるスキャンダルとの関連を示唆するところもある)

それでも、最も印象に残るのは、音楽とシンクロするニューヨーク、摩天楼やクインズボロ・ブリッジである。(橋をバックに、アレンとダイアン・キートンがベンチに座るシーンは、奇跡のショットである。BGMはガーシュインの"Someone To Watch Over Me")

次回、ガーシュインについてもう少し I


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