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統一教会問題に思う〜リスクマネジメントの観点から考えてみた

政治家と統一教会の問題について、連日報道がされている。しっかりと、事実を究明し、関係者は説明責任を果たしてもらいたいと思う。そもそも、彼らのリスクマネジメントは、できているのだろうか。そんな疑問を抱いた。

リスクマネジメントの重要なポイントに、リスクの評価とコントロールがある。リスクの定義は色々あるが、ざっくりと言うと、目的達成に対して影響を及ぼす不確かな事象としよう。コントロールとは、そのリスクの発生又は影響を最小化しようとする活動である。

身近な例で言うと、クレジットカードの不正利用というリスクがある。カード会社、利用者双方にとって、安全にカードが利用されることが目的の一つであるが、不正利用というリスクは存在する。

これを防止するために、暗証番号、ネット利用時の第二の暗証コード、スキミングの防止策、IC
チップの導入などなど、様々な方策が導入されてきた。これらは、専門用語では”予防的コントロール”と言われる。つまり、不正利用が行われないようにするためのコントロール、いわばワクチンのようなものである。

それでもすり抜けて不正利用されることはある。対して、カード会社は、AIやアルゴリズム等を用い、異常な利用ケースを見つけ出し、利用者に連絡し、真に利用者の使用かどうかを確認している。これを、”発見的コントロール”と言う。つまり、不正利用はゼロにはできないが、早期に発見することによって、被害を最小にとどめるという行動である。

それでもリスクをゼロにすることはできない。カードの不正利用に関わらず、全てにおいてそうである。コントロールにはコストもかかる。そこで、コストあるいはメリットと比較して、この程度の残存リスクなら受容できるという判断が行われる。

今回の統一教会の問題を、こうしたフレームワークに当てはめ、政治家に質問してみよう。

リスクは、「反社会的/犯罪により収益を得ている等の疑いがある団体(以下、ブラック団体)を支援する、又は支援を受けることにより、政治活動にネガティブなインパクトを受けること」である。

質問1:そもそも、こうしたリスクを認識していたのか?
回答1:No
結論1:リスク感覚の欠如甚だしい、政治家としての資質に欠けます

(回答1:Yesの場合)
質問2:それでは、リスクコントロールの為に、関係する団体の事前(=予防的)、事後(=発見的)のスクリーニング、ブラック団体リストとの突合等は行っていたのか?
回答2:No
結論2:リスクマネジメントができていない、政治家としての資質に欠けます

(回答2:Yesの場合)
質問3:ブラック団体に、なぜ統一教会関連団体が入っていなかったのか?
回答3:そんな悪い評判のある人たちだとは知らなかった
結論3:無知も大概にしろ、政治家としての資質に欠けます

ちなみに、金融機関は口座開設に先立って、こうしたプロセスを必ず踏んでいる。その上で、個人も含め、スクリーニングで引っかかった先については、取引種類に応じて、Yes/Noの判断を行っている。

回答3のバリエーションには、「ブラック団体としてスクリーニングで引っかかったが、この程度の付き合いは政治活動にインパクトを与えるリスクとは考えていなかった」、「メリットを考えると、この程度のリスクは受容可能と考えた」などが考えられ、それが実態ではないか。

なぜリスクと考えなかったのか、なぜ受容可能と判断したのか、そのあたりをしっかり説明して欲しいのである。リスク受容の結果、元総理が死亡しているのだ。

同時に、こうしたリスクマネジメントの仕組みが、しっかりと設計・運用されているのかを点検しなければ、第二・第三の統一教会問題が繰り返されるのではないか

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