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定点観測:天一 自由が丘店(その6)〜春です、山菜とはまぐり

「天一」 自由が丘店で季節の味を楽しむ定点観測、昨年の11月以来の訪問である。昨年のこの季節は、2月の末にちょっと早めの春を楽しんだが、今年はお彼岸の季節となった。春の味を楽しもう。

天ぷらの前に、小鉢で出して頂いたのがウドの酢味噌和え。既に春が始まった。

まずは定番の才巻海老。店長曰く、海老は成長し大きくなるが、それに従って、才巻海老→巻海老→車海老→大車となるそうだ。海老はいつも同じと思っていたが、この季節は活動量が上がるので、少し体格が良くなるらしい。確かに、この日の海老はちょっと太めで豊かな味になっていた。

続いて、春の味覚の白魚。これが、ちょっと大きめで身がふっくらとしていて、海老同様に身が厚い。白魚といえば、数匹を寿司屋で軍艦巻きにしてもらう小さなイメージがあるが、一回り大きい。島根の宍道湖産だそうで、美味しいと感想を述べると、食べ比べてと生の白魚を一尾出してくれた。これも結構な味なのだが、天ぷらにすると身がふっくらし、独特の苦味が消えて魚の身を味わえる。

妻が注文したこごみは2個づけだったので一つ貰って、山菜シリーズも開始。続いて、“山菜の女王“、コシアブラ。女王だけあって、抑えた苦味が美味い。鯛の幼魚、春子(かすご)、淡白で上品な味である。店主の勧めで、一つをレモン塩、片方は天つゆで食べたが、やはり塩が良い。天ぷらは塩に限る。山菜は何もつけなくともよい。

女王の次は王様、ふきのとう。王様だけあって、苦味が一段スケールアップする。これぞ山菜、自然の味覚だ。そして、本日のハイライト、はまぐり。見たこともないような、大きなはまぐりで、店主は「まずは1個をお二人で」と、半分に切ってくれる。さらに、「揚げたてが天ぷらの基本だけれど、これは粗熱が取れてからが良いですよ」と勧められた。口に入れたい心をグッと抑えて、湯気がおさまった頃を見計らって口に入れる。甘味・香り・食感などが渾然一体となって、なんとも言えない複雑な味わいが展開される。揚げたてだと、熱すぎでこのデリケートさが体験できないのだ。

鹿児島産の空豆は、まだ小さめだけれどホクホク。タラの芽も美味しい。そして、「ちょっと早いのですが、いれちゃいました」と言うのが稚鮎。まだ、型は小さめだが、鮎のわたの苦味が楽しめて、これはこれで好きだ。

最後は、“大きな“小柱のかき揚げで天ばらをいただく。桜が咲き始める頃の、天ぷら屋風景である


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