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三木鶏郎ってなにもの?〜ニッポン放送の必聴特別番組

油断できない。ニッポン放送で素晴らしい特番が放送されていた。冗談工房結成65周年記念、「ニッポン放送と三木鶏郎」(7月20日18:30-20:30)というプログラムである。(まだ数日間はradikoで聴けるので、是非!)

三木鶏郎(みきとりろう)ってなにものだ? 名前は頭にインプットされていたが、どんな人なのか説明しろと言われてもできない。漠然と、テレビの関係者という程度である。

それを説き明かすのが、この番組。ホストの高田文夫に加え、三木鶏郎の本を出している泉麻人、ムーンライダースの鈴木慶一を迎える。

三木鶏郎、一言で言うと、ラジオ・テレビという舞台における日本最初のクリエイターの一人と言える。作詞/作曲/編曲家であり、放送作家であり、政治の風刺も行った。番組では、その足取りをたどる。

ディズニーのアニメが日本に入ってきた時に、その音楽を日本語に乗せた音楽監督。番組では「ダンボ」の「私の赤ちゃん(Baby Mine)」を流したが、こうした曲の訳詞も行った。

ラジオ放送では、1947年放送開始の「日曜娯楽版」で“冗談音楽”のコーナーを担当し、大人気を誇った。そして、その下には多くの才能が集まり、「冗談工房」というグループが形成される。永六輔、野坂昭如、五木寛之、出演者では楠トシエ、中村メイコ、宮城まり子、左とん平などなどである。このグループが作成した番組から出た三木鶏郎作のヒット曲が、中村メイコ唄う「田舎のバス」である。

そして、日本初のコマーシャルソング、小西六(現コニカ)の為の灰田勝彦唄う「僕はアマチュアカメラマン」を作り、その後、数々のCMソングを作る。この辺りからは、私の頭にも残っている。ミツワ石鹸の“ワ・ワ・ワ・ワが三つ♫”“明るーいナショナル♫”“キリンレモン・キリンレモン♫”

テレビ番組のテーマ曲では、「鉄人28号」「トムとジェリー」(訳詞だけではなく、作曲も三木鶏郎)。ここまで来ると、私の一部は三木鶏郎で作られているようにも思う。

そして、そのモダンで洒落た音楽的才能に惚れたのが、大瀧詠一であり、鈴木慶一である。鈴木は「三木鶏郎の音楽は、独特で湿り気がないのが魅力」と語っていた。

この番組では貴重な音源が流された。一つは、ニッポン放送で三木鶏郎が手がけた番組、「トリローサンドイッチ」。ニッポン放送には音源は無く、三木鶏郎が個人的に録音していたものである。豆腐をテーマにした音楽の合間に、ちょっとしたコミックスケッチ(ラジオ寸劇)が入る。

そして、三木鶏郎と大瀧詠一の対談音源が流れた。「子供の耳は良い。だから、CMソングについては子供の耳をねらった」、「外国の恋の歌は楽しいが、日本のものは心中になっちゃう」などと語っていた。

いやー、面白かった。泉麻人は「冗談音楽の怪人・三木鶏郎」という本を上梓している。ちょっと読んでみよう

*37年ぶりに三木鶏郎がラジオ出演し、弟子というべき永六輔と対談している音源があった。これも面白い


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