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誕生まで⑩|緊急外来


緊張感を持ちながらも、コントロールできることに意識を向けるよう毎日を過ごし、ひとつの目安になる「28週」に入った。


しかし、その28週になった当日の深夜に異変が起きる。


妻が「今まで感じたことのない腹痛」に襲われたのである。


最初は、少し痛いかな?くらいだったのが段々痛みが増し、横になっても収まらなくなった。


すぐに大学病院に電話をし、状況を説明。

28週を迎えていたこともあり、陣痛の可能性も疑われるため即来院するよう指示を受ける。

そして、念のため「陣痛タクシー」を依頼し、即病院へ向かった。
(事前に登録しておいて良かった)


移動中に、深夜ではあるが両家へLINEを入れる。
唯一、私の弟(3兄弟の真ん中)がたまたま起きており、事情を説明。
(後に両親とも連絡はとれた)


「生まれてくるのも0ではない」

と家族にLINEを打つ。


だがそれと同時に、

「早産過ぎて、心疾患の手術ができない可能性もある…」

ということが脳裏に浮かぶ。


しかしながら、今は 緊急事態

あらゆる思考が巡るが、それらに意識を向けないように必死だった。


そして、病院に到着し受付しに行ったところ、すでに情報が連携がされており、車いすに乗って指定の場所で待機。

その後、産婦人科の看護師が迎えに来て下さり診察室へ移動。


今回は陣痛の可能性もあるため、分娩室などがある診察室。

そのため、私は入室できずに待合所にて待機であったが、幸い診察室でのスマホ操作がOKで、妻から時折報告してもらっていた。


そして、張り止め薬を服用しつつ、母子ともに検査を進める。

服用して1時間経過しても痛みが引かないようであれば管理入院。
状況によっては出産になる可能性があるとのことだった。

しかしながら、この状況でも我が息子は胎動が凄まじく、エコーで見ても相変わらず超がつくほど元気で、看護師にも「本当によく動くね~」と驚かれていたよう(笑)


またこの間、待合所のとなりが「NICU」ということと、分娩室でもリアルタイムで出産している方がいるのもあって、新生児の泣き声が何度も聞こえてきていた。


「もし今日生まれてしまったら、助からないかもしれない…」

という不安が押し寄せる。


だが、微かに

「でも、生まれたらこんな感じかぁ…」

という想像を膨らませたりもしていた。


ただ、深夜は昼間と比べ人も少なく、かなりバタバタしており、夜勤の方々にも頭は上がらないなとも感じた。


そして、妻から「痛みが和らいできた」とLINEが入る。
薬の服用から1時間は経過していなかった。

さらに、細かく検査を続けるとのことで、そこからさらに1時間半ほど経過して、

「帰宅になりました」

と妻から改めてLINEが入り、直後に看護師が待合所まで説明しに来て下さった。


結論から言うと、

「陣痛ではなく、子宮収縮による極度のお腹の張り」

であり、緊急を要する状態ではないとのこと。


子宮口も開いておらず、母子ともに検査も異常なし。
薬の服用で痛みも引き、安定しているので本日は帰宅。

元々予定していた翌日の妊婦健診で再度確認するという流れになった。


また、今回の原因及び経緯も医師から告げられた。

”生理痛が極度に重い人”は痛みに耐性があり、子宮収縮の痛みは耐えられてしまう

それにより、少しのお腹の張りでも飲むレベルではないと認識してしまうが、実は本来服用すべきレベル

その段階で抑制しなかったことでより悪化

とのこと。
(こういうケースは結構あるとのこと。)


妻はその「生理痛が極度に重い人」なのである。

夫の私は男性であるため、的確に表現することは難しいが、
毎回、終日寝込むほど重いのは確か。

※生理痛が重い方々は、妊娠中は本当に注意していただけたらと思う


しかしながら、今回の私たちの連絡した判断は正しいとのこと。

妊婦である以上、今後も些細なことでも変化がある場合は、すぐに連絡するようにと指示を受け、病院を後にした。


改めて帰宅途中に、両家にLINEを入れる。

特に車が必要というわけでもないので、寝ててOKと伝えてはいたものの、私の弟だけはずっと起きて待機していたようだった。

本当に頭が上がらない。
息子が大きくなったら、この優しい叔父さんの話もしてあげたいなと思った。


そして帰宅。
ひとまず、何事もなくホッとした。


しかしながら、深夜1時に家を出て、帰宅したのが朝の6時近く…
帰宅後はどっと疲れが出て、夫婦してすぐに眠りについた。


つづく



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