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架空漫才「モノ」
「どうもーエノキノミです!よろしくお願いします」
『よろしくお願いしまーす』
「……あれ?増税しないメガネさん?」
『いやそれ増税する人にだけ使うんだよ!』
「ああ、すみません間違えちゃって」
『気をつけてくださいよ、そんなこと言ったらメガネの人みんな増税しないメガネになっちゃうから』
「あぁそっか」
『そっかじゃなくて。それ言ったらあなたは増税しないコンタクトですかって話になるから』
「……対偶?」
『ん?』
「いや、増税・メガネ と 増税しない・コンタクト は対偶じゃん?」
『え?』
「だから、俺は岸田文雄と同値ってこと?」
『同値じゃないわ!そんなのは減税裸眼になってから言えよ』
「……?」
『…ん?どした?』
「げんぜいらがん……?」
『なんでいきなり分かんなくなっちゃった』
「まあそんな話はたなぼた」
『さておきましょうね』
「あのさ、この前高校の同級生でタカシってやつに会って、ちょっと遊んだりしたからその話をしたいんだけどさ」
『おー、いいね聴かせてよ』
「そのタカシはさ、こう、なんというか、物静かな性格なんだよね」
『あー物静かなんだ。でもそういう人の方が気が合いそうだよね』
「でさ、その物静かなタカシは物好きでさ、高校時代は物珍しいカレー屋に通ってたんだけど、最近潰れちゃったらしくもの恋しいらしいんだよね」
『えーなに?! ものものっていきなり』
「え?いや、“もの”は なんとなく みたいな意味でしょ。タカシが、もの恋しい、つまりなんとなく恋しい気持ちになってるんだから!」
『えぇ?』
「で、もの恋しいタカシが元気になってくれればと思って、おすすめの “ものカレー”屋さん連れて行ってあげたんだよね」
『“ものカレー”屋さん??え、もの が なんとなく って意味だとして、なんとなくカレーって何?』
「ハヤシライスだろ!!!」
『ハヤシライスなの?!なんとなくカレーが?』
「そうだろ!!」
『いやそうだろ!って、まあそうかもしらんけど』
「で、その “ものカレー” が少し物足りなかったんだけど、トッピングで生クリームかけたらすごく美味しくなって、“もの感動” して “ものお会計” して店出たんだよ」
『“もの感動”?』
「感心したんだよ!」
『感動してあげていいだろ!なに、“もの感動” が感心って。なんで感動から感心に下げたんだよ。あとなに、“ものお会計”?』
「つけにしてもらったんだよ!」
『つけにしてもらったんかい!あれ確かになんとなくお会計だもんね。半分お会計してないようなもんだもんだから』
「で、ご馳走様ですつって店出て駅に向かって “もの電車” 乗って帰ったんだよ」
『“もの電車”?』
「モノレールだろ!!」
『…………。モノレールなのかよ!!!!“もの電車”!』
「あたりまえだろ」
『えぇ?あたりまえなの?』
「んで、“もの最寄り駅” で降りたらさ」
『あっ!これ分かった!“もの最寄り駅” は隣駅のことでしょ!』
「そうそう!分かってきたねえ!
で、もの最寄り駅で降りたら」
『なんで隣駅で降りちゃったんだよ』
「本屋で好きな作家さんの小説の “もの新作” が売ってて」
『え?“もの新作” …は準新作? いや本に準新作とか無いんだよ』
「せっかくだから “もの物語” だけ立ち読みしよーつって」
『ん? “もの物語”?なに、化物語みたいな』
「(花澤香菜の声で)せーのっ♪
モノローグだろ!!!」
『モノローグなのかよ!!あと せーのっ♪ てやめなさいよ、化物語みたいに』
「化物語?」
『しらない奴がせーのっ♪って言わないんだよ』
「それで、立ち読みしてたらなんか物音が聞こえて、何かあったのかなと思ってたら、どうやらモノトーンの服着た物腰柔らかい店員さんが物置で物思いに耽ってたら物知りな別の店員さんがもののけのモノマネをして、元気づけようとして物干し竿を倒しちゃったみたいで、なんてもの優しい職場なんだろうって思ったんだ!」
『……………』
「ん?」
『……………』
「なんか物言いたげだね」
『ものものものものうるさい!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
「物凄く怒っちゃった」
『もういいよ!』
「いいとのことで」
「『ありがとうございましたー』」
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