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要約という名のエゴ - わかりやすさの罪

今年に入ってから最低週2冊のペースでビジネス書を読んでいます。読んでいる本は教えてもらった本であったり、本屋さんで目についた本であったり、各種サービスからレコメンドされた本であったり、色々な場所から見つけているんですが、読んでいる本で圧倒的に多い種類がある事に気が付きました。それは相手にうまく自分の考えを伝える技術についての本です。

僕は常々、自分の考えをうまく相手に伝えることが不得意だと思っていて、これをどうにかしたいと考えています。このブログも自分の考えを相手に伝える練習の一つです。相手に伝わりやすい言葉を選び、相手に伝わりやすい順序で話せばきっと相手にもわかってもらえるんだろうと考えていました。しかし、今のところあまり技術が上がっている実感はありません。

そんな時に目に飛び込んで来たのが以下の本です。僕が伸ばそうとしている能力を全否定しているそのタイトルがきになりますよね。この本を読むまではわかりやすいことに越したことは無いと思っていましたが、難しいことをわかりやすくすることで削ぎ落とされる情報にこそ本質があるのかもしれないと感じました。

この本はわかりやすさを全否定してきます。そもそも物事はわかった or わかっていないのような0 or 1の状態ではなくもっとなだらかなものだと著者は主張しています。色々なことをわかりやすく説明するということはわかりにくい部分を削り、「ほら、どんなバカでもわかりやすく加工してあげましたよ」という発信者側のエゴが含まれてきます。

本来、なにかの物事をしっかり理解することは難しいことです。難しいことを難しいままに理解させるには難しい話をするしかありません。しかし、色々なビジネス本では理解させるためには小学生にもわかる言葉で説明することが重要と書かれていたりします。難しい言葉を小学生でも分かる言葉に翻訳することで落ちていく情報にこそ物事の本質を表しているのかもしれません。

また、著者は2択の危険性にも警鐘を鳴らしています。AとBから選ばせることは、それ以外のCという選択肢が思いつかなくなる弊害があります。僕も子育てでこの手をよく使うのですが、自分が選択してほしくない選択肢を意図的に抜いて2択を作ると相手の考えを制限することができます。デジタルの世界は0か1か白黒はっきり付きますが、現実世界はそんなことなく限りなく白に近いグレーとかあります。以下の記事を読むとさらに白黒はっきりと言い切る人の危険性がわかると思います。

「わかりやすく伝えること」と「白黒はっきりさせること」は違いますし、「わかりやすく伝えること」と「誰でもわかるように伝えること」も違います。なにかを伝える時に難しいことを端折って何となく伝えるよりも、分かりづらいなりにもきちんと伝わるほうが良いのではないかと考えさせられました。何事もわかりやすい説明を求め、わかったフリがうまくなっているこの世の中、こういう問いかけをしてくれる本はありがたいものです。


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