『フラニーとズーイ』 – 日めくり文庫本【9月】
【9月14日】 フラニーはもう一度咳払いをした。自分に課した「純粋な聞き手としての役目を全うするべし」という刑期は既にしっかりつとめたはずだ。「どうして?」と彼女は尋ねた。
レーンの顔に微かではあるが、水を差されたという表情が浮かんだ。「どうしてって、何が?」
「その試論がちゃんと評価されないだろうと思ったのは、どうしてなの?」
「そのことはさっき言ったじゃないか。ずっと説明していただろう。このブルーグマンってやつは、きわめつけのフロベール信者なんだよ。というか、少なくとも