【第九十六夜】『ゲルマントの方』夜話 – プルーストの処方箋
今夜もハナは話をはじめた。◆
「パリに戻ったサン=ルーさんと彼女さんと会ってから、また話が展開し始める感じね」
「この彼女さんは、たしか三冊目だったかな、ブロックと一緒に娼館に行ったところが描かれてたのは。ちょっと印象に残る感じで描かれてた女性だったけど、こんな登場の仕方とはね……」
「彼女さんのお仕事仲間に挨拶されるとところも、ちょっとドキドキよね……」
「彼女さんがいわゆる別の顔を持ってるっていう秘密を、自分だけは知ってるところなんだけど、その表現もちょっと印象的