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最後まで奇妙、最後まで違和感「ボラード病」

 最初はジャケ買いだったんですよ。綺麗な色彩の絵の表紙だなあ、と思ってぱっと裏をめくって、あらすじも私好みのダークな感じだったんで、いいじゃん買ってみよ、と思って読んだらこれは凄い小説でした。

 初めてお聞きする作者名と、初めて聞く「ボラード病」という病名。どんな病気かを話すとネタバレだし、私にはどんな病気か説明する力が無い。

 とにかくずっと「何か変」。言葉にし辛い奇妙さ。あれ、これって普通だっけ?と何度も考え直しました。主人公の人生とか、その周りの人の行動とか、これって合ってるんだっけ?と。でも読めば読むほど何か違うのに、それが普通の世界観だと認識してしまう。 

 文体も読みやすくて、難しいような単語も出ないし、話のテンポも丁度良いのに、何かが狂うというか、違和感が毎ページ増えていくというか・・・説明しずらい!!!!!これは読まないと分からない!!!!!!(他力本願)

  でも毎度言う通りこういう後味悪い作品、大好きなんですよね。読み終わった後に何だこれ、何だこの感情、って思わせてくる。読み終わった今でも、私には正直よくわからないんですよ。この小説のオチ。なのに面白かったと思える。この作品について色々考えてみたいと思える。 

 この作品を読んだ時に、自分が生きている環境が自分にとっては全てで、外からその環境を見たらもしかしたら変なのかもしれない、と思いました。実際変かどうかは知らないしわからないけど、そういうことも十分あり得る。生きている本人なのに自分のことを知らなくて、周りの人間だけがわかることがあるかもしれない。 

 この作品を読んで、という書き出しを今書いて、学生の頃を思い出しました(笑)読書感想文。起承転結を分かりやすく、同じ単語は使わず、なるべく分かりやすく、簡潔に書けと教わった・・・。 

 読んだ後も後を引く面白さです。読んだ人に感想を聞きたい。毎回これ言ってる気がする。自分の読んだ本について感想を言い合ったことがあんまりなくて、感想を言い合う的なことをやってみたいんですよ。面白かったから良作、面白くなかったから駄作とかそういう話はしたくない。あ、この話もうちょっと深くしたいな。その人にとっては面白くなくて、自分にとっては面白いこととか、世の中に沢山ある。また別途書いてみよう。


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