艮背適応   担当:八木正典

聖人の心は艮背適応にして意必固我の私なきによって、富貴貧賤、死生禍福、その外天下の万事、大小高下、清濁美悪において、毛頭好悪楝択の情なく、ただ満腔満目一貫、皇極の神理ばかりなり。
(翁問答)
 
 
中江藤樹の翁問答を読んでおります。
先日の西晋一郎先生の書物の中で出てくる中江藤樹と自分が知っていると思っていた中江藤樹の思想や姿が違っていたので、改めて理解したいと思ったのです。
 
その書、翁問答は面白いですね。
天君という老翁が体充という弟子からの質問に答えるという形で話が進んでいくのですが、儒学の四書五経を中心とした深みのある回答に圧倒されます。
特に「心のありよう」について、表面的な現れ出ることに惑わされず、本質を見ることの重要性を何度となく繰り返し丁寧に主張しており、理解が進みます。
 
「欲を無くす」というのは位や財宝をすてることではなく、天理の神理に背くのが欲であり妄であり、天道の神理にかなうのが無欲であり無妄であるといいます。
欲かどうかはその事象ではなく、その心根にあるというのは藤樹学(心学)の真骨頂かと思われます。
 
まだまだ中江藤樹の思想に触れ始めたばかりですが、陽明学の祖と言われるその思想を少しでも自分のものにしてみたいと感じております。

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