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いのちのかぎり 〜生まれたら、いつか必ず死ぬということ〜 1

卵巣がんでずっと治療してきた母。

7月の中頃体調が悪化して

腸閉塞で入院した

良くなっていないうちに退院となり

家に戻っても

食べたり飲んだり出来ないほどに

衰弱してしまった



腹痛や嘔気嘔吐も酷く

このままでは

苦しみ、のたうち回って

命も尽きてしまうだろう

父も母も

抗がん剤をしたらまた元気になると信じて

母はこれまで

辛い治療をずっと頑張ってきた

でも、抗がん剤に耐えられる体力が

足りなくなってしまったんだと思う

腸閉塞がしんどくてしんどくて

もう死んでしまうかも知れないと思った

と、のちに母は言っていた

母と相談して

もう、抗がん剤をするのはやめよう

大きな病院はもう行かずに

家でできる限りの緩和ケアをしてもらって

笑って過ごせるようにしよう

と決めた

これ以上治療をすれば

もっと命が短くなる

いつまで生きられるのかは分からないし

癌の治療でも

もっとやれる事があるのかもしれない

けれど、身体が悲鳴をあげているのは

間違いなく

病院で入院したまま

誰にも会えずに死んでいくのは

嫌だ


母と私が

以前から気になっていた在宅医療のクリニックに

転院することにした

そう決めた日

私は急きょ仕事の休みをもらい

まだ夏休み中の三男を学童保育に送り込み

衰弱しきった母を車に乗せ

急いでクリニックへ向かった

母はベッドで休ませてもらいながら

診察や点滴をしてもらい

別室で私は在宅医療の手続きをして

処方された薬を薬局で受け取った

終わったのはお昼ごろ

さあ、帰れるよ

という時にも

母は吐き気が酷く

動けなくなってしまった

もう一度診察してもらい

タイミングよく訪問診療から戻られた
消化器内科の先生にも診てもらい

吐き気に効く注射をサッと打ってもらった

嘔吐をしたら多少ましになったようで

少し休憩して

家に帰った



早速その日の午後

先生と看護師さんが訪問してくださり

点滴をしてもらい

久しぶりに笑顔も見られた


もうこれからは

夜中にお腹痛くて救急に駆け込んだり

痛い痛いと一人で苦しまなくていいよ

お父さんも夜中に病院付き添うのは

しんどかったよね

困ったときやしんどい時は

電話したら来てもらえるよ

父にも説明したけれど

急すぎる展開や

突然知らない医療者が
ドタバタと出入りすることに

戸惑い、気持ちが全くついて来ていない様子

お父さん、勝手に決めてごめん

でも、沢山のサポートの中

母が家族の近くで過ごすことを

選ばせてね





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