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ひと夏の長さより…

ひと夏の長さより
思い出だけ多過ぎて
君のことを忘れようとしても
切り替えられない

涙が出ないのはなぜだろうか。

思い返してみると、君のことで泣いたことは
一度もなかった。
嘘をついて他の女の人と会っていたときも、
君の気持ちが私から離れていくのを
肌で感じていたときも。

「嫌いになった?」って聞かれたとき、
どう答えればいいのかわからなかった。
以前の君なら「嫌いになんてならないよ」って
言えば安心したように笑ったんだろうという
ことは容易に想像できたけど、今の君が
私に求めている答えはわからなかった。


「花火一緒に行ってくれてありがとう。嬉しかったよ」
「僕も花火楽しかった。ありがとう」

君の一人称が僕になっているのは、
きっと無意識で、
不可逆的に開いてしまった心の距離の表れなのだろう。


「嫌いになった?」に対する私の答え。
当時は言えなかったけど、今ならこう答える。

「たぶん、最初から好きじゃなかった。」

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