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After-02)silent

悪いね、こんな時間まで。じゃ、また。うんおやすみ。
訪ねてきたのは深夜とはいってもまだ浅い、10時ごろだった。かつての仲間とは、それなりに連絡をとっている。今はロボットである人型アンドロイド”sea”のエネルギーしか使えないが。ロボット同士ならつながるというので、世界を共有した結果ようやく情報がつながるようになった。それも文字のみでの伝達だ。だからといって所在が不明ということはかわらないし、SOSも出せそうにない。
最近、寝床もハウス内が多くなっている。めんどうくさいを通り越してもはやちょっとしたキャンプ気分だ。一応換気はしているし、なにより星空の眺めがいい。
スクリーンを閉じようとすればいきなりその全面にseaが現れたので思わずひっくり返りそうになりながら見つめる。一体どうした。

ーアラートー侵入者がいますー

言葉ではなく、画面に映し出された文字。どうやら彼女とリンクさせていたカメラに何者かの反応があったらしい。おかしいな、ハウスはオートロックでかけたはずなんだが・・・。
冷や汗をかきながらその画面を確認する。端っこに移動した彼女の顔がこころなしか険しい・・・目が座っているような。お願いだからここで例の戦闘能力を解放しないでくれ。
・・・・・。
いた。
第2号室。フードを被ったミリタリー服がなにやらコソコソウロウロしている。どうやって入ったんだ。手に何かみえる。ナイフか。
(信頼できない)ヒトがいないので、よっぽど強力な獣とか、モンスターでない限りは大丈夫だと油断していた。
見た目は中肉中背・・・男性っぽいな。一応仲間にも連絡を取っておこうか。しかし男(仮)よ、お前は運が悪い。そこは毒性植物のオンパレードだ。というか、大体がそうなのだが。
あ、
その瞬間、横から一直線で白い点が走ったかと思うと、seaが例の男をリングで拘束し、蹴とばした。ところまでは見えた。

「あんた誰だ。」
「・・・・・・。」
「何しに来た。答えろ。」

翻訳機を使用しているので通じてはいるはずなのだが、こちらをガン見するだけで一向に応えようとはしない。どころか、なんだか蒼ざめている?長身、袖髪の長い茶、黒い鋭い目。浅黒い肌をしている。
おいsea。やりすぎたんじゃないだろうな。
・・・。
seaの目が酷く冷たい。sea?しかも問いかけても反応がない。一応パーカーに失礼して部位を調べてみる。ああ、左上腕部には毒アロエの刺さったあとが紫の縄目のように現れていた。相当痛くて口もきけないはずだ。念が分かるにも関わらず、彼女は”パーソナル的な問題で”隠していたらしい。一度敵とした、つまり(彼女らのいう)ウイルスと認識してしまっている。解除するには手動で解くしかない、が。

傷口を消毒し、スプレーを吹きかけて処置を終わらせる。携帯型のスペースで連絡をとろうとして男が何かつぶやいたので手を止める。
「・・・・・・った。」
「?」
「絶対に、」

頭を起こし、今にも飛びかからんとする勢いで睨みつけながら男は言った。

「絶対に”裁いて”やる・・・・・!」

このとき、男の目は充血し、見開かれて狂気さえはらんでいた。



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