![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73985318/rectangle_large_type_2_cddbc49c3d53719c806444c065ae570b.png?width=800)
はぐれもの(3月10日)
ロートレックの絵にはどこか心惹かれるものがある。それでは、今日もまとまらない話を。
私はユトリロの人生が好きだ。テレビをつけていたときにたまたま観ただけなので記憶違いかもしれないが、彼は不遇な少年時代を送り、アルコール漬けの日々の中で作品を描いていた。その頃の作品は「白の時代」と呼ばれていて、有名な作品が多い。「白の時代」で名声を獲得したユトリロは経済的にも成功し、50歳を超えて結婚した彼は「色彩の時代」と呼ばれる作風に移り変わっていく。その後、再び独り身となり、白の時代を彷彿とさせるような寂しい絵を残してこの世を去る。
「白の時代」の絵は人気もあるし評判も良い。けれど、ユトリロ自身は「色彩の時代」と呼ばれている時期の方が幸せだったのではないか、と思ったりする。「白の時代」のユトリロ自身の寂しさが吐き出されているような絵から、豊かな色彩のある絵に移り変わっていくその変遷が味わい深い。
という話を数年前に友人にしたところ、ロートレックを紹介してもらった。きっと好きだろう、ということで。ロートレックの人生については以下を参照されたし。
私はロートレックの絵のどこに惹かれるのだろうか。彼が題材に選んでいたモチーフなのか、色の選び方なのか……。ロートレックの経験が滲んでいるのを無意識に感じているのだろうか。
ルドンも好きな画家の一人だ。ルドンも少年時代は病弱で内向的で田舎に里子に出されて空をずっと眺めていた。ずっと白黒の絵を描いていたが、息子が生まれたことで、彼も色彩豊かな画風に変わっていく。
高校生だった私は白黒の奇妙な絵に惹かれて展覧会に行ったのだけれど、後半は溢れ出る色彩に圧倒されて感動したことを覚えている。そして、その転機が第二子の誕生と成長であることも(第一子は生まれてすぐに亡くなってしまった)。
数年前にグランブーケを初めて目の前にした時もとてもいい気持ちがした。グランブーケに描かれている花はこの世には存在しない奇妙な花で、そういった薄気味悪さは白黒の絵の時代から変わらないのだが、色彩。柔らかく華やかな色彩。
私は色彩に憧れている。寒々しい自分の心の中に色彩が溢れることに憧れている。けれど、きっとその色彩に辿り着くことはできない。そんなときにロートレックの絵をみたくなる。
ルドンとユトリロは比較的長生きしているが、ロートレックは三十代で亡くなっている。
最後まで読んでくれてありがとう。