闇落ちした旦那の観察日記[(7)2014年夏~]

サラリーマン経験が皆無で、組織の常識を持たない私にとって、ここからの半年間は、びっくりしゃっくりな異世界物語。私がいる飲食業界なんて人種のルツボなので、そもそも人間は理解しあえないもの、と思ってます。それぞれの経験値の範囲内でしか共感できないし、あとは、どれだけ許容しあえるか、想像力があるか、歩み寄れるか。。。そこなんだけどねえ。

6月に再度、会社面談がありました。今回は会社でなく、こちらに出向いて来て下さるということで、私も同席。お世話になっているお客様を自分の店にお迎えするような気持ちで、不安半分期待半分、その日を迎えました。当日はガチの公式面談でした。顔ぶれを見たら、小さなうちの店でというわけにもいかず、喫茶店にご案内することにしました。要するに、お偉い立場の方が4人雁首揃えて、退職勧告をしにいらしたのです。うーん。旦那はまだ重要な判断を下すことは困難な病状でした。お互いがお互いの様子を窺いつつ、サラサラとお話は進んでいたのですが、「そもそもなんで鬱になっちゃったの?」という質問から流れが激変。旦那が「はっきり言っちゃえば仕事の過労です」と答えると、突然「病気になるほど仕事をしろとは言ってなーい!!」と血相を変えて怒りだした方がいらして、いやー私は驚いちゃったよ。そこ、怒るとこー??。旦那は、まだ会社にお世話になるつもりだったので、あえて診断書に病の原因を明記していなかったんだそうです。そのため、会社役員の皆様は、旦那の病の原因を、本人の素質や家庭と決めつけていたみたい。病状を理由に、我々が返事を保留にしたため、この日、正式に休職辞令を頂くことになりました。ってか、この時まで休職扱いになっていなかったとは知らなんだ。「でもどうせ半年だよ、これは規約で決まっているんだからね!」とやはりキレ気味の役員様なのでした。わけがわからん。

あとから聞くと、この会社は二重構造になっていて、管理職の人間と現場の人間とは全くの別種。管理職はみな天下り、現場を全く知らないという、たいそう歪な会社なのでした。え?ありがち?。

闇落ちしたばかりの頃は、なにを聞いても答えられなかった旦那でしたが、手探りしながらも、そろそろ自分の気持ちを拾いあげていかなければなりません。旦那は、仕事に追い込まれて病気にはなりましたが、恨んではいませんでした。所属していた支社は、社員みんなが、いっぱいいっぱいの仕事を抱えて、わちゃわちゃと働いていました。旦那はそんな同僚の皆さんに愛着を持っていました。仮に病気になってしまったとしても大丈夫だよ、というモデルケースとして復職したい、それが旦那の希望でした。これ、私も同感です。一生懸命仕事しているうちに追い込まれることってどんな人でもあると思うんです。うつ病になる可能性はだれにでもあるのだから、予防より、そのあとのフォローをきちんと制度整備すべきです。予防偏重だから、なおさら隠そうとする風潮が生まれるんです。

次の面談は10月。本社でお会いしました。もちろん私も同行いたしましたとも。ケナゲに頑張る旦那を支えるため、そして、アマクダリなる未知の生物がうごめく異界の本拠地にちょっと興味もありました。要は、怖いもの見たさですね。

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