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【読書記録】さだまさし「解夏」

 今回はさだまさしの作品「解夏」を読みました。

 さだまさしは言わずと知れた、日本を代表するシンガーソングライターです。「北の国から」を始め様々な曲を手掛けています。

 「解夏」は4つの短編を集めた短編集となっており、作家とは一味違った作詞家の片鱗が感じられる作品でした。

表題の「解夏」ではだんだん目が見えなくなってしまう病気を抱える男性の話がつづられる。手に取るようにわかる心情と、巧みな描写によって生み出される日常感によって他人事とは思えない物語になっています。

  さだまさしの本の特徴はなんといっても物語のフレームの強さと詩的な表現でしょう。

  短編集のどの作品をとっても物語のフレームワークがかっちりとしていて、ぶれることがありません。地に足がついていて、リアリティがあります。思わずノンフィクションではないか?と錯覚するほどディテールがはっきりとしている印象です。

  そして表現が詩的で素敵です。文学作品ではどちらかいといえば物語性や全体を読んで何かを感じ取るというような表現方法をとっていることが多いように感じます。

  しかしこの本では、要所でがつんと強い言葉で我々にメッセージを送ってきます。けれどチープさのようなものは全くありません。物語自体は非常にリアリティがあり、様々なことを感じ取りながら読むことができます。

  もちろん、小説ならではの謎解き要素やすっきりしたオチもあって、非常に楽しく読むことができます。

  私はこの作品を読んでいるときに、この体験はドラマを観ているのと近い感覚を覚えました。文学畑の人ではない視点から書かれた面白い作品だと思います。

  少し余談ですが、このような作品を読むとやはり小説はとても開かれた世界だと感じます。例えば、小説家がドラマに出るとか、俳優が歌を歌うというのは少しハードルが高い挑戦で、なんというかはじめは風当たりが強いものです。しかし小説の世界は誰でも入っていくことができます。俳優でも医者でも誰でも小説を書くことはできるし、割と評価されてたりする印象です。
  このような多様性と様々なスタイルがあるので、小説を読むことはやめられません!

おわりに

  今回はさだまさしの短編集でした。やはり少し違った視点からの描写であったり、詩的な表現だったり、いつもと違った感覚で読むことができました。さだまさしの別の側面も見えた気がする楽しい体験でした!


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