【編集先記】進化した福井県立恐竜博物館がとんでもなかったので聞いてほしい vol.3
こんにちは。編集長です。
某出版社から刊行予定の某化石案内本の取材のため、福井県立恐竜博物館を訪れました。
進化した福井県立恐竜博物館がとんでもなかったので聞いてほしい vol.2の続きからお届けします。
vol.1も読む
***
日本が誇る福井の恐竜たち
福井が恐竜王国と呼ばれる所以、それが、ここに展示されている恐竜たちです。
福井では1989年から続く恐竜化石調査から、これまでに、
・日本で初めて学名がついた肉食恐竜フクイラプトル、
・テリジノサウルス類のフクイベナトール、
・イグアノドン類のフクイサウルス、
・ティタノサウルス形類のフクイティタン、
そしてフクイサウルスとは別のイグアノドン類であるコシサウルスの5種の恐竜と、さらにフクイプテリクスという1種の原始的な鳥類が発見されています。
そう! ここは日本が誇る、一大恐竜産地なのです!
今回のリニューアルに伴い、これらの恐竜たちが一目でわかるシンボルモニュメントが新たに建てられました!
新館の1〜3階に続くエスカレーターの吹き抜けを生かした、その名も「恐竜の塔」(パンフレットより)。
新たな映えスポットです。
ここに来て新種発表
そしてなんと!
リニューアルオープン直後の2023年9月、福井で6種目となる新種の恐竜が新たに発表されました!パチパチパチ…
学名は、ティラノミムス・フクイエンシス。
日本初のオルニトミムス類の新種で、「福井産の暴君(ティラノ)もどき」という意味があります。
取材時には新館の特別な場所に展示されていましたが、近いうちに他の福井産恐竜たちと並んで展示されるようになるのでしょうか。
(余計なお世話ですが、「恐竜の塔」にもいつか加わる日が来るといいな……と願わずにいられませんでした)
ジオラマにこだわりがち
ここで今一度、福井の恐竜たちの展示に戻りましょう。
フクイサウルスやフクイラプトルが並ぶガラスケースを一通り眺めたら、後ろを振り返ってみてください。
通路を挟んだ向かいの展示もアツいんです。
なかでも注目はコレ!
福井産の恐竜と生き物たちによるミニジオラマです。
はい出ました、ジオラマ。
覚えていますか、ここがジオラマに並々ならぬこだわりを見せる博物館であるということを!(vol.1参照)
このミニジオラマもよく見ると、いろんなところにいろんな設定が散りばめられています。
まずは手前の大きな恐竜。これはフクイベナトールです。
視線が上空のフクイプテリクスを捉えています。狙っているのでしょうか。
次にそのフクイプテリクスを見てみると、視線の先に……
ネズミのような小さな哺乳類がいました。この哺乳類を狙っているようです。
そしてその哺乳類が見ているのは……
ゴキブリ!
しかもこのゴキブリ、翅をよく見るとちゃんと翅脈があって、それも驚きなのですが、それがここ福井で見つかった新種のゴキブリの翅脈を再現したものというから、ホントとんでもないです。
こんなちっちゃなゴキブリにも、妥協を許さないこだわりよう。
すごくないですか!?
ジオラマの奥の方でも、フクイラプトルがフクイサウルスの子どもを追いかけていたり、池に小さなカメが描かれていたり、芸が細かすぎて……
湯川先生の解説を聞きながら、研究者がこだわるってこういうことなのかと、しばし遠い目をしてしまいました。
でもあれですね、この物語の中にもやはり、新種のティラノミムスをそのうち加えてほしい!
モニュメントに加えるよりも、もう少し現実的な気がします。
……と、思っていたら、
ちゃんといました!
パネルでは「オルニトミモサウルス類」となっていましたが、これが発表前のティラノミムスです。
いやー、さすがです。もう絶句です。
*
パワーアップした福井県立恐竜博物館では、
恐竜とは何ぞやを学べるダイノラボや、
未来の研究者を育てる気満々の本格的な化石研究体験室、
常時ガラス越しに見える収蔵庫、
ここに籠るだけで博士になれそうな図書室、
などなど他にもたくさん見どころや遊びどころがあるのですが、いくらなんでもここでは紹介しきれないので、(というか、ここで紹介しきってしまっては本末転倒なので)続きは2024年刊行予定の本にて!
情報解禁までしばしお待ちを!!
というわけで、湯川先生、
貴重なお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました!
*
福井県立恐竜博物館は、JR福井駅からえちぜん鉄道で勝山駅へ向かい、そこからバスで約15分、タクシーで約10分のところにあります。
チケットは事前購入が原則(しかも超人気)ですので、ご注意を。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?